映画「千夜、一夜」を新潟で見る
法座は2日間だが、最終日は夜に食事会(懇親会)があって、例年、もう1泊させてもらう。今年は、午前中の予定はなく、少し観光を考えたが、交通の便がうまくいかなず、このまま帰ろうかと思った。が、初日、ホテルの窓から映画館が見えていた。歩いて2~3分、駅前にある。しかも会員になっている劇場で、上手い具合に朝一番に観たい映画が上映されていた。
『千夜、一夜』 は、ある北国の離島が舞台。新潟県の佐渡市や新潟市で撮影されている。地味な映画だか、地元新潟が舞台ということで、この映画館では力を入れていた。
テレビの連ドラは、今が旬で、視聴率の取れる同じような俳優が主演するドラマばかりだ。その点、映画には、ベテラン俳優でじっくり撮られた作品がある。これもその一本で、田中裕子が、わずかに残された幸せな時の声だけを頼りに、30年間以上、帰らぬ夫を待ち続けるという作品だ。
日本人の失踪者が年間約8万7千人!(警察に届けられた件数)もいることに驚いた。日本海側の失踪者には拉致問題(特定失踪者)が絡んでいるが、ただ事件や事故に巻き込まれたケースは稀だ。最近は、認知症によるものもあるそうだが、大半が、自らの意志で大切な人を捨てて、ある日、突然、行方不明になるというのだ。しかも、残されたものに、失踪の理由が思い当たらない場合も多いという。昔なら「神隠し」と言われたこともあるだろう。
ただし失踪の意志がある、なし(事件や事故)にかかわらず、残されたものは、その理由が分からず、安否すら不明なまま、その帰りを待たねばならないのだ。
帰らない人を帰ると信じて待つ。それが愛なのか。それとも諦めるならば、何が区切りとなるのか。「待つ」ということがテーマの映画でもあった。
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