報恩講~初心忘るべからず
親鸞聖人の報恩講法要を勤める。
今回は、昨年6月に得度長女の出勤デビュー。得度習礼で同班だった方にも出勤をお願いする。年齢も性別も違うが、初々しい二人組で臨む。娘は、お母さんの色衣に、ぼくが初めて着けた五条袈裟で出勤した。あまり緊張している様子は感じないが、年長の方から緊張ぶりが伝わって来る。
打ち合わせを済ませて、「それではよろしくお願いします」と立ち上がった時、「もう一度トイレにいきます」と。一般参列では絶対に味わえない緊張感だろうが、致し方ないことだ。長女と一足早く向って、勤行内容を皆さんにお伝えているうちに、全員所定の場所へ。
まずはお二人でスタート。うまくこなされているのが、緊張気味に見守る。大師影供会作法なで、頌讃、画讃は独吟に、最後の乙回向句は一緒に練習をした。何事もなく最後まで無事に勤められて、一安心。
控室に戻ると、連れ合いが「背中の首のあたりにタグがついていますが、おかしくないですか」と。ぼくも後ろ姿に違和感を感じていたが、トイレに立った後、慌てて裏返しのままで着られたようだ。本人を含めて大半は気づかれなかったが、これもデビュー戦の想い出となろう。
「初心忘るべからず」
世阿弥の金言である。回数を重ねるうちに経験を積み、余裕が生れるのは悪いことではないが、ともすれば緊張感を無くし、手ですることを足でする無精をし、解怠に陥るのが、凡夫の性でもある。初心を忘れずに臨みたい。
聞法でも同じこと。慣れきった村雀は、鳴子にも乗って、無常と聞こうが、落ちると聞こうが、平気になっていく。ご用心、ご用心。
「驚かす かいこそなかれ 村雀 耳慣れすれば 鳴子にも乗る」
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