『口伝鈔』第五条「仏智護念章」
11月の聖典講座は『口伝鈔』第五条。「自力の修善はたくはへがたく、他力の仏智は護念の益をもつてたくはへらるる事」と標題され、「仏智護念章」といい習わされている。これまでの第三~四条を受けた形での展開されている。第三条で自力と他力の分別を、第四条では善悪を超えた他力本願の働きについて述べられたが、特に第四条の「この善悪の機のうえにたもつところの、弥陀の仏智をつのりとせずよりほかは、凡夫、いかでか往生の得分あるべきや」の文を受けて、私の六賊の煩悩に侵されて自力の功徳は蓄え難いが、一方、諸仏に護念される他力の仏智の功徳は莫大で、仏智の不思議をたのむべきことが述べられる。また他力の念仏が非行非善だというご教示は、『御消息』や『歎異抄』第八章との関連がある。
標題の「自力の修善はたくはへがたく、他力の仏智は護念の益をもつてたくはへらるる事」(【現代語訳】「自らの力で善を修めても、その功徳を蓄えることは難しく、如来様の智慧の働き(他力の仏智)による信心は、諸仏に護られるご利益で蓄えやすいということ」)でもわかるように、大きく、1「自力の修善」(たとひ万行諸善~侵奪するがゆゑに)と、2「他力の仏智」(念仏においては~しるべし)に二分科出来る章で、それぞれ語句や現代語訳を頂いた。
『口伝鈔』の中では、もっとも短い章なのだが、「六賊」、「他力の仏智」、「非行非善の念仏」、そして「諸仏護念の益」など、テーマにすべき内容が多く、たいへん濃厚な法座となったのではないか。中でも、仏智から、慈悲と智慧、さらに「信心の智慧」という点は、聞法の上での要点でもあるので詳しくいただいた。結局、これが華光大会やその後の法話のボイントとして頂くことになっていく。
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