「最澄と天台宗のすべて」~伝教大師1200年大遠忌記念~
もう終了しているが、5月に京都国立博物館で開催されていた「最澄と天台宗のすべて」を観てきた。
伝教大師最澄の千二百年大遠忌を記念した特別展だ。昨年の聖徳太子の千四百年の大遠忌に続いて、日本仏教の偉大な高僧の大遠忌が続いている。伝教大師は、平安時代に比叡山延暦寺を開き、天台宗を広め、それ以降の日本の仏教の発展につながる最大の功労者であり、仏教界最大のスーバースターの一人であることは間違いない。ところが、同世代のライバルでもある弘法大師空海の人気に比べると、功績ほどの名声は、一般では低いかもしれない。このPCでも「弘法大師」は一発変換できるのに、「伝教大師」は「電業大師」となってしまう。しかし、空海の密教に対して、顕教の天台宗だが、同時に密教(台密)も盛んで、日本浄土教もここで花開く。鎌倉新仏教で開祖となる高僧方(法然、親鸞、一遍、日蓮、道元)もすべて比叡山で修行したことは有名である。比叡山が日本仏教の中心であり、その後の日本仏教の母胎となる。宗教面だけでなく、比叡山が政治に与えた影響も大きいことは、さまざまな歴史的事件が証明している。
福岡、東京でも開催されてきたが、京都会場でのみ展示されるものも多く、国宝23件、重文71件という豪華な内容で、仏像や仏画、経典、絵巻物のみならず、国宝の袈裟や経店箱などの工芸・美術品に、国宝の文書や消息類など多彩な展覧会だった。
僧兵による強訴で有名な山王神社(日吉大社)の御神輿の絢爛で迫力ある姿に驚いた。
また、東京国立博物館で展示されていた六波羅密寺の空也上人像(口から六体の阿弥陀様が飛び出す)の別バージョンがあるのにも驚いた。六体の阿弥陀様がでる構図は同じだが、愛媛の空也上人は、一、二回りは大きく、お顔の造詣も違っていて(ちょっと間が抜けた感じがした)見慣れた六波羅密寺の空也上人像の方が緊張があるように思えた。空也上人も、今年がご往生一、〇五〇年の節目にあたり、東京開催されていたとようだ。
他には浄土教に関心があるので、恵信(源信)僧都関連のものに、一段と親しみか沸くのは、当然といえどは当然。
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