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『必要・十分条件』省略されている重要なこと(1)

 昼間の輪読法座に続いて、真宗カウンセリング研究会の月例会。

 会館には3名だが、ZOOMは12名の参加がある。

 僕自身3度目の『必要にして十分条件』を読んでいる。終盤だが、担当することにした。六条件が終わって、「どんな意味があるか」の章である。六条件では語られなかったで、逆に深い意味があることを示す大切な章だ。レジュメがあるので、簡単に要約しておこう。

 建設的なパーソナリティ変化をもたらす必要にして十分な条件として、六条件を述べ終えた後、「セラピーの必要な条件について述べられた公式に、何か驚くべき特質があるとすれば、それはおそらく省略されているいくつかの要素にあるであろう」と続けて、省略された重要な要素、つまり述べなかったことで、逆にその本質、特質が明確になってくる重要なこととして、、以下の5点を挙げている。

(1) ここにあげた条件は、あるタイプのクライエントに適用されるものであって、他のタイプのクライエントのセラピー的な変化をもたらすためには、別の条件が必要だとは述べられてはいない。
 神経症にはある条件や方法、精神疾患にはまた別の条件や方法といったようなことが、それまでの臨床分野の常識であった。それに反してロジャーズは、ただ一つの本質的条件がどのようなクライエントにも適用できるという極めて革新的な仮説を提示した。

 ※これまでの常識を覆して、どんな問題を持ついかなタイプのクライエントに対しても、この条件さえ満たせば十分だと言い切っている。

(2)これら六条件は、クライエント・センタード・アプローチの基本的条件であるとか、他のタイ プのサイコセラピーには他の基本的条件が必要である、ということは述べられていない。
 さまざまなサイコセラピーがそれぞれの異なったパーソナリティ変化を生み出し、すべてのセラピーに違った条件が必要であると考えられてきた。それに対してロジャーズは、効果的なセラピーはどのようなものであろうと、パーソナリティと行動で同じような変化を生み出すもので、そのためには、ただ一つの前提条件のみが必要であると主張した。

 ※この条件は、あらゆる学派に通じる普遍的な理論である。もしクライエント中心療法以外のセラピーでパーソナリティ変化が起こったのであれば、それが用いられた技法によるのではなく、治療的な人間関係がその条件を満たしているからなのだ。

 

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