国宝、聖林寺十一面観音展
久しぶり(5年ぶりか)に家族4名で旅にでた。こんな時期なので近郊の奈良旅行への1泊旅行である。
初日は、奈良国立博物館で、国宝 聖林寺十一面観音展 を見る。「日本彫刻の最高傑作、24年ぶりに奈良はく公開!」がうたい文句だ。24年前は「天平展」で展示されていた。あれ? じゃ、以前も見てるのか。帰宅後、図録を調べたら、24年前にも鑑賞していたのだが、まったく記憶にはなかった。
仏教伝来以前、日本の神は山、滝、岩や樹木等に宿ると信じられ、自然のままの依代を礼拝対象とされてきた。三輪山を御神体とする大神神社もその一つだが、仏教興隆の奈良時代になって神仏が接近して神社に付属する寺(いわゆる神宮寺)が造られるようになる。大神神社にも大神寺(後に大御輪寺)が建立された。ところが、今度は、明治維新に国家神道が強要されて、新政府による神仏分離令で、仏教、寺や仏像は苦難にさらされていく。そして廃仏毀釈の大きなうねりの中で、多数の仏像や寺院が破壊されるという悲劇が起こったのだ。
幸いなことに、大御輪寺の仏像は周辺の寺院に移されて、今日まで守られてきた。今回の展示は、かつて大神寺にあった4体の仏像が、150年ぶりに奈良博に一同に会するというものである。国宝 十一面観音菩薩立像(聖林寺蔵)、国宝 地蔵菩薩立像(法隆寺蔵)、そして月光菩薩立像、日光菩薩立像(正暦寺像)である。中でも、十一面観音菩薩は、日本仏像の中でも傑作の誉れが高い逸品で、確かに、均整のとれた体く、気品高く、美しい仏像であった。ただ、この展示は、思った以上にあっさりしたものだった。
むしろまったく予定外の特別陳列、「お水取り」に魅せられた。ちょうど二月堂のお水取り(修二会)の真っ最中だった。厳粛、荘厳な雰囲気が伝わり、感動的だった。
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