『御伝鈔』奥書
そして、最後に本文とは別に、奥書がある。
『御伝鈔』(『伝絵』)作製の意図を後書きとして述べられているが、時代の異なる三つの奥書からなっているのが特色である。その大意のみを述べる。
第一=根本奥書といわれ、永仁三(1295・覚如上人26歳)年に、『伝絵』が初めて作製された時のもの。聖人の「知恩報徳」のためのみに作製されたことが明記される。絵は、康楽寺浄賀による。「善信聖人絵」と題された。
第二=その44年後、暦応二(1339)年に、書写して作り直す。初版原本は、建武三(1336)年、足利尊氏の京都侵攻の兵火により、本願寺と共に焼失したことが記される。
第三=その4年後、康永二(1343)年、覚如上人74歳の時、最終版として「本願寺聖人親鸞伝絵」が作製された時の記述である。
以上で『御伝鈔』が終わった。南無阿弥陀仏
| 固定リンク
「聖典講座」カテゴリの記事
- 『口伝鈔』第七条「凡夫往生章」(2023.01.29)
- 『口伝鈔』第五条「仏智護念章」(2022.11.13)
- 『口伝鈔』第四条(2022.10.16)
- 聖典講座『口伝鈔』(1)(2022.10.15)
- 『御伝鈔』下巻第七段(3)「~廟堂創立の経緯とその後~(2022.02.22)