濱口竜彦監督『偶然と想像』
みなみ会館で、濱口竜彦監督の『偶然と想像』を観る。世界中で高評価を獲得した『ドライブ・マイ・カー』 は、今年の邦画のナンバーワンで、今、一番輝きを放ている監督だ。長編作品が多い中で、『偶然と想像』は1話40分程度の短編オニムバスだった。
第1話「 魔法(よりもっと不確か)」(古川琴音、玄理、中島歩)
第2話「 扉は開けたままで」(森郁月、渋川清彦、甲斐翔真)
第3話 「 もう一度」占部房子、河井青葉)
どれも登場人物は2~3名でほとんど一対一の密室での会話劇である。偶然の出会いがもたらす運命の綾をテーマに、言葉の力を感じさせる作品だった。科白を平板の発するのは、『ドライブ・マイ・カー』の劇中で劇でもあったことで、なるほどと感じた。感情が先行するのではなく、実は、言葉や姿勢が感情を生むだしているのではないかと思わされた。特に第3話の設定は、ールプレイやサイコドラマの即興劇のようなことを劇中で行っていた。どの作品も印象深くかなり高得点。以前見逃した5時間以上の長編作品『ハッピー・アワー』を年明けに観ることにしている。楽しみだ。
ところで、平日はガラガラのみなみ会館なのにボチボチとお客が入っていた。さすがは、今年を代表する監督だからと思ったが、それだけではないようだ。21日なので誰でも1000円均一料金になっていたからだ。
なぜ21日に安いのか。それは弘法さんの日だからだ。
| 固定リンク
「映画(アジア・日本)」カテゴリの記事
- 映画「千夜、一夜」を新潟で見る(2022.10.24)
- 映画『名付けようのない踊り』(2022.02.09)
- 濱口竜介監督『ハッピー・アワー』(2022.01.06)
- 今年211本目は『CHAINチェイン』(2021.12.30)
- 終い弘法(2021.12.22)