今年211本目は『CHAINチェイン』
今年、最後の映画のために、京都シネマに出かける。5年前から映画館での鑑賞が200本に到達していた。昨年は新型コロナの影響で、一時、映画館が閉館されて、結局、170本に止まりだったので、2年ぶりの大台。しかも211本は新記録である。あれこれ印象に残った映画はあったが、またの機会に触れられたらうれしいが、11、12月に観た映画の印象が強く、特に12月の後半は好みの映画が続いて、満足した。
さて、決して、万人に受ける映画ではないが、日本映画『CHAIN(チェイン)』 は、王政復古の直前、坂本龍馬・中岡慎太郎が近江屋で殺害される。その3日後、油小路七条で起こった伊東甲子太郎一党の斬殺事件。油小路の変と呼ばれ、いわば新撰組の終焉を象徴する事件だ。新撰組から分離した伊東甲子太郎の御陵衛士との対立。所詮、末端組織の内ゲバ事件で、明治維新という激動に比べると瑣末な事件ではあるが、その一つ一つにも無名の市井の男女の営みが絡みあっているのである。
現在から155年前。かなり大昔の出来事のように思うが、ここから第二次世界大戦の終焉までが78年。そして終戦後から現在が77年と、ほぼ年数が同じだ。そう考えると、歴史は時代が変わったとたんに、すべてがブッツリと途切れ、変化するわけではない。たとえ人の営みや思いは変化しても、現代の日本人にも綿々と列なる何かがあるのかもしれない。そんなことを象徴する演出、撮影だった。
大半が時代劇だが、侍の姿のままで現代の京都がそのまま舞台になる。京都タワーや四条大橋の風景の中で、殺陣が行われる。何よりも驚いたのは、油小路七条での斬殺現場で、いま風景そのままで撮影されていたことだ。十条油小路(今は、新堀川と呼ばれるが)に住んでいるぼくとしては、馴染みがある。何よりも、今日も、ここを通って映画館にきた。帰路も、興味をもって通ったら、斬殺場所のお寺のお隣には病院がなって、いまならすぐに搬送されていたことだろうと。
ちなみに、この事件の1ケ月後、御陵衛士の残党に、近藤勇は襲われて重傷を負うことになる。こちらは伏見の墨染通、有名な料亭前。
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