« 9月の華光誌輪読法座 | トップページ | 東京支部法座~地獄の話~ »

『サマー・オブ・ソウル』~あるいは革命がテレビで放送されなかった時~

   いやこんな映像に出会えるなんてね、びっくり。

 『サマー・オブ・ソウル』~あるいは革命がテレビで放送されなかった時あるいは革命がテレビで放送されなかった時

は、1969年夏、30万人を動員した「ハーレム・カルチュラル・フェステバル」、暗殺されたキング牧師の一周忌を期して開催された黒人を中心にした音楽フェスだ。このフェステバルの最中、アプロ11号が人類初の月面着陸に成功したので、その映像も挿入されている。小さかったぼくは、夏休みの絵日記にアポロのことを書いた、そして父が興奮して深夜まで中継をみていたことだけは覚えている。

 しかもこの年の夏、同じ時、それほど離れていない場所で、あまりにも有名な『ウッドストック・フェスティバル』が開催されている。ラブ&ピースだ。一方は、未だに語り継がれる伝説のフェスとなるのに、こちらもなかなかのメンツが揃って、エネルギー全開なのに、すぐに忘れさらていく。この長尺の記録映像も、50年間以上もまったく表に現われることなくお蔵入りしていた。一重に、黒人の集まりだからののだろう。警備にあたるのも警察ではなく、プラックパンサー党の面々だ。アメリカでの人種差別(ここでは黒人対する)ものが、いかに根強いのかが、この一つでもわかる。

 それで、この映画も単なるコンサート映画ではなく、公民権運動からプラックパワー、さらには黒人のアィデンティティーに根ざした新しいブラックカルチャアの誕生を映像化しているというのである。
 
 がそれはそれとして、以下はまったくの個人の趣味世界。もし関心のある方が、読んだくださるとうれしいです。

 映像のトップバッターは、スティービー・ワンダー。かっこいい。しかもドラムソロも披露している。そしてBBキングと大御所が続く。さらにはクラゲィス・ナイト&ザ・ピップスやスライなどが続く。ポップなグループ、そしてマヘリア・ジャクソンなどのゴスペル音楽がが続き、ラテンやリズムセッションの音楽、そしてジャズの流れを汲む人達が締めていく流れで、編集されている。

Img_4142_20211008101301

 ぼくの関心は後半部分になるほど強くなる。モンゴ・サンタマリアのラテンバンドの後で、レイ・バレットがコンガを叩いたり映像があってびっくり。今朝、聴いたアルバム(ブルーノートのルードナルドソン)に彼が参加していたのだ。さらにラスト近くにジャズドラマーのマックス・ローチが、かっこいいヒップな衣裳でドラムを叩き、同士であるアビー・リンカーンが登場する。いや、かっこいい。マックス・ローチが政治的な発信し、政治色の強いアルバムを連発するのは、アビー・リンカーンとの出会いからだ。そのことをマックス・ローチの息子が語る場面があって、えー、これがご子息ですかということでまた感激。そしてクライマックがニーナ・シモン(下の写真)。これがすごくかっこいい。アフリカの女王の登場。しかも3曲も収録されているが、最後は暴動でも煽るような詩を朗読する。圧倒的な迫力だ。

Img_4143

 ということで、じっくり音楽を楽しむという映画ではないが、CDやLPの音でしか知らなかったアーチストの動く映像が観られてのが、時代の空気、ファションや文化でなどにも触れられて、満足した。

|

« 9月の華光誌輪読法座 | トップページ | 東京支部法座~地獄の話~ »

音楽」カテゴリの記事

映画(アメリカ・その他)」カテゴリの記事