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『御伝鈔』第三段「山伏済度」(1)

 今月の『御伝鈔』は下巻 第三段「山伏済度」の段。下巻は七段に分かれるが、利他の徳、機の真実を顕すとみていいが、その中心、この段にある。親鸞聖人の対人的態度を窺う上でも、意味のある一段で、この視点は真宗カウンセリングの独特のものであって、この段の真意をさらに深まりをもって味わうことができた。

 まず「分科」で、この段を四段に分けて窺った。

 第一段は、「聖人 常陸国 ~ 信順の族はおほし」。
 「稲田での布教」の段で、親鸞聖人が稲田草庵を拠点に専修念仏(雑行雑修自力の行を捨てて、一心に本願を信じて専ら念仏すること)を弘められると、誹謗する人は少なく、信順する者が多かった。

 第二段は、「しかるに一人 ~ うかがひたてまつる」
 「害心の山伏」の段で、一人の山伏が、念仏が弘まることをよく思わず、聖人を害せようとした。

 第三段は、「聖人 板敷山 ~ 奇特のおもひあり」
 その山伏が「板敷山での待伏せ」の段で、聖人が往来される板敷山で何度も待ち伏せたが、いつも空振りに終わった。そこでいろいろ思いを巡らしていた。

 第四段は、「よって聖人に ~ これをつけたまえき」
 「山伏(明法房)の帰依」の段で、思いを巡らせた結果、直接、聖人に会うために武装して草庵を訪れたが、聖人の尊顔を触れた瞬間、その心を懺悔させられた。これまでの鬱憤を吐き出しても、聖人は驚かず受け止められた。その場で山伏を捨て、本願に帰依。聖人から明法房との名を賜り、後にめでたく往生の素懐を遂げらたのは、不思議なご因縁である。

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