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日本映画『太陽の子』

 8月15日(日)終戦記念日。映画『太陽の子』を観る。

 この映画は、昨年(2020年)8月15日に、NHKで放映された『太陽の子』を映画用に再編集されたものだ。視点を代えた編集なので、昨年7月に自死された三浦春馬も出演。戦地で深く傷つき、入水自死未遂する役で登場する。

  第二次世界大戦中、京都帝国大学で行われてた原子爆弾開発計画の史実をベースにしている。主演は、新型爆弾の研究員、「実験バカ」役を柳楽優弥。最近では、映画『HOKUSAI』で若き日の葛飾北斎を熱演していた。その弟が戦地に赴任後、一時帰国してた三浦春馬と、きょうだいのような幼なじみで、微妙な三角関係となる有村架純の3名の、戦時下における青春グラフティーであり、研究者としてアメリカに負けるか、また戦争勝利のための使命感に燃える一方で、科学者として大量殺人兵器の開発に関わらざるおえない葛藤、さらに狂気の一面が描かれている。

 戦時下、日本でも原爆開発は、陸軍主導と海軍主導の2つの研究があった。海軍は京都帝国大学の荒勝教授を中心にウラン使用の研究がされている。映画でも、京都帝国大学も、荒勝教授も、実名で登場し國村隼が演じている。重要な会議では湯川秀樹博士も参加しているが、映画にはない。 ウラン鉱石を濃縮して原爆の材料となるウラン235の抽出するために遠心分離機を用いる方法は、理論レベルではともかく、肝心の遠心分離器すら完成に至らず、原料のウランの入手さえも困難で、十分な資材も電気さえもままならず、国運をかけた一大プロジェクとしては、あまりにもお粗末だ。
 すでにアメリカでは核実験に成功していた。そして、ついに8月6日に広島に、プルトニウムを生産したウラン型の原爆が投下され、壊滅的な被害を受ける。9日には、長崎にもプルトニウム型が投下される。京都帝大のチームは数日内に広島入りして、調査にあたる。そして、第3の標的は、京都だというの噂が流れる中で、科学者として冷徹な行動をとる。原爆の実態を観察したいと比叡山へと登っていくのであった。

 TV版よりよかったけれど、もう少し科学洒者としての葛藤や苦悩が深堀りされると、もっと深みがでたように思えた。

 

 

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