7月の月例会「パーソナリティ変化の必要にして十分な条件」(2)
昨年から、メーリングリストとZOOMの活用が功を奏し、ご縁が広がっている。今回も新会員と、お試しの方の参加があり、会館に6名、ZOOM参加と合せると20名も参加があった。
ロジャーズのもっとも有名な代表的な論文である「セラピーによるパーソナリティ変化の必要にして十分な条件」の2回目。
心理療法における建設的で、意味の深い、前向きなパーソナリティ変化-人格変化が起こるためには、ある「関係」が必要であって、それが満たされているならば、それだけで十分であるという。その関係とはどういことなのかを、経験に基づいた科学的な仮説として提示されたものである。これはけっして聞き方の技術や方法ではなく、人と向き合うこと時の「態度」、姿勢を示されたもので2人の人が心理的な接触をもっていることあることだ。
- 2人の人が心理的な接触をもっていること。
- 第1の人(クライエントと呼ぶことにする)は、不一致の状態にあり、傷つきやすく、不安な状態にあること。
- 第2の人セラピストと呼ぶことにするは、その関係のなかで一致しており、統合していること。
- セラピストは、クライエントに対して無条件の肯定的配慮を経験していること。
- セラピストは、クライエントの内的照合枠を共感的に理解しており、この経験をクライエントに伝えようと努めていること。
- セラピストの共感的理解と無条件の肯定的配慮が、最低限クライエントに伝わっていること。
この六つの条件は、パーソナリティー変化のプロセスにとって基本的なもので、建設的なパーソナリティー変化が起こるためには、このような諸条件が存在し、しばらくの期間存在しつづけることが必要であるという。
その六条件として示された中での第一条件の「関係」のところだ。
「2人の人が心理的な接触をもっていること」。前提条件のようなものではあるが、この条件がなければ、以下の項目も意味を失ってしまうので、ある意味、当たり前だがもっとも重要な条件である。
セラピストをカウンセラーと置き換えていいが、要は二人の人間関係において、その間に何らかの心理的接触、心の触れ合いがあることが重要である。この二人の出会い、心理的な接触というところに大きな意味を持つ。ここでは言語以前のノンバーバルな部分での出会いの意味も大きい。
論文の記述とは離れるが、普段の生活においても、誰かを前にして向き合ったときの、自分の中に起こっている感覚を思い起こしてみればそれは分かるだろう。初めての方と向き合う時、安心して向き合って座れる時、または防衛的に向き合っている時などがある。そこにどんな言葉以前の感覚が起こっているのか。また相手がどんな態度で接してこられると、それはどう変わるのか。普段は意識して目を向けることはないが(実際は身で感じている)、このあたりを十分に意識して生きていくことで、これからの条件が身近になってくるのはないか。
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