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『御伝鈔』(7)~第六段「信行両座」(1)~

 今月の『御伝鈔』は上巻の第六段「信行両座」(しんぎょうりょうざ)である。絵図では第八図にあたるが、親鸞聖人の吉水(法然門下)時代に起こった「三大諍論」の一つである。

 その大意は、親鸞聖人の提案により、法然様の門弟に「信不退・行不退」の二座を選ばせたのだが、多くの門弟が戸惑う。そんな中で、聖覚法印、信空房、法力房(熊谷直実)そして親鸞聖人、最後に法然聖人の五名のみが「信不退」の座に着して、他の門弟たちは後悔の念を現わすというものである。

 多数の門弟の中で、法然聖人の真意を得たものは稀で、親鸞聖人こそが正統な後継者であることが示されていくのだ。これが史実かどうかの真偽は別として、法然門下での出来を示す第五章「選択付属」を受け、第七章「信心一異」へと繋がる一段だ。共通するのは法然聖人の正統な後継者が親鸞様であることを示す点にある。まさに覚如上人の強い意図が示される。

 さて大きく四段(一と二を加えて三段でもいいかもしれないが)に分科することができる。

一、法然教団の繁栄-法然聖人の教えを聞くため、宮中の貴族から庶民に至る多くの人々が集った。
  「おおよそ源空聖人~門前、市をなす」
  
二、その実情-三百八十余人の門弟の中でも、法然聖人の真意を得たのものは5、6名だった。
  「常随昵懇の緇徒~五六輩だにもたらず」

三、親鸞様の提案-そこで親鸞聖人は、門弟の真実信心の有無を沙汰する場を提案し、法然聖人も許可される。
  「善信聖人、ある時~仰せられ出すべしと」

四、信行両座-翌日、親鸞聖人は、皆に「信の座・行の座」の選択を迫るが、皆は戸惑うばかり。聖覚法印、信空房、遅参した熊谷直実、そして親鸞聖人、最後に法然聖人が  信の座に着かれ、一同は、複雑な気持ちとなる。
 [しかるに翌日集会~色をふくめり」

(つづく) 

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