観劇『メリーさんの羊』
今、連れ合いには他に旦那さんが二人もいる。
もちろん舞台上のことである。
お一人は、わが家では「ガッパ」と呼ばれているベテラン男優の方。別にガッパに似ているからではない。大怪獣ガッパの映画での重要な役どころで、唯一、ガッパとは会話できる原住民役で出演されていたからだ。
もうお一人が、俳優座の加藤頼さん。一昨年逝去された加藤剛さんのお子さまである。1月にもオンラインで観劇させてもらっている。
その頼さんが下北沢での公演に出られる。それがコロナ禍で、観客も入れられるが、一部はオンラインで配信されたので、観劇することができた。
劇作家、別役実名作『メリーさんの羊』 である。別役実の名前を聞くのはほんとうに久しぶりだった。大学1、2年生の時、学園祭での演劇部の作品を観て以来なので、実に40年ぶりか。
ほとんどが駅長と列車に乗り遅れた男の対話劇ですすむ。前半は、かなりとぼけた味わいのあるコメディ風で進んでいる。大笑いすることはないか、たまにクスッとした感じで、このままなんとなくかみ合っているようで、かみ合わない、行きつ戻りつするような会話が続き、このまま何事もなく終わっていくのかなと思っていたら、終盤に来て、知らない間にシリアスな展開になり、いつのまにか引き込まれてみていた。
そして最後。駅長の奥様が登場してきてこれまでの二人芝居の意味がさらに鮮明となってくる。
なーるほど、そういうことか。ちょっとゾクゾクとするよう結末。とてもよかったです。
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