10月の学び~「カウンセリング・心理療法篇」
10月に受講した教大学四条センター講座での「カウンセリング・心理療法篇」である。
まず、今の話題であるコロナ関係では、大林雅之先生の「小さな死」から考える、コロナ時代の生き方~老いと孤独をめぐって~という講演聞く。フランスの思想家のジョルジュ・バタイユと、シスターでもある渡辺和子を結べ付ける論考。刻々と起こっている「小さな死」こそ、「大きな死」のリハーサルであり、別のものではないと。いろいろと仏教や真宗的に結べ付けて味わいながら聞かせていただいた。
そしてメーンは、「心」と題するカンファレントがあり、毎週水曜日の夜に連続した講義。2コマある時は、18時から21時になるので、もし教室に参加するのなら難しかったかもしれないが、Zoomのおかけで参加することができた。
仏教大学の臨床心理の教室には、ユング派の先生が中心のようて、同じカウンセリングといっても新鮮に聞かせてもらっている。これは11月から来年1月まで続く。
牧先生から、「心理臨床家の人生」と題する連続講義で、「ユング」、そして「ロジャーズ」の生涯のまとめてお聞きする。
小児科医でもある石岡千寛先生からは、「心と身体の健康」と題して、「心と体を結ぶもの」、「ストレスルの心身への影響」と題した講演。これは、医学モデルで、かなり新鮮に聞かせていただいた。特に、細胞レベルで、単細胞の場合も、老化と死(アボブトーシス)として、遺伝子に細胞死が組みこれまていること、それが多細胞生物にしても、必然の死、テロメアとして、寿命の上限が定めれ、死の必然が遺伝子レベルで定まっていることをお聞かせていただいたのは新鮮。
また鈴木康廣先生からは、「箱庭療法入門」と題して、その基礎のお話。驚いたことは、ユング派といえば、分析や解釈が中心かと思っていたが、ロジャーズの来談者中心カウンセリングの態度とは通じるものがあって、ロジャーズの態度項目である三条件は必須で、クライエントが、安心して、自己を自由に表現できる場をいかに構築するのかの重要性を指摘されていた。そしてクライエントが如何に自己を物語り、その世界観をセラピストが受容的に、また共感的に聞きえるのかが大切であるという。
その中でも、一番、よく知っていてるはずのロジャーズの生涯を講義が新鮮だった。講義での元ネタは、諸富先生の「カールロジャーズ入門」。途中、ロジャーズとミス・マンとの面接ビデオ、また河合隼雄先生のロジャーズの評などを、体系的にまとめて講義くださる。諸富さんの著書も、河合先生の言葉も、またロジャーズの面談ビデオも、何度も読んだり、観たりしている基本で、その文章の隅々まで覚えていることも大半だった。それでも、いやそれゆえか、短時間にまとめた講義は、改めてぼく自身の聞く態度を問われるのは充分であった。
直線的に決めつけて解決に向うのではなく、葛藤や紆余曲折を経ながら、全人格でしっかりと悩んでいくことを援助していく。問題解決ではなく、その人自身がいかに悩む力をつけていくのか。そしてクライエントの世界を共にあたかも生きているのかがカウンセラーであると。ユング派の立場から、距離を取ってきかせてもらったことが、とても有り難かった。
11月もしっかり学びたい。
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