永代経の4日間(4)~面授口伝、もしくは師業口伝
前・後期の入れ替え制とした分、信仰体験告白の時間が2度あった。顔ぶれは、その時のメンバーから選びで、前期と後期では別の方である。後期は、あの方、この方と候補が多かった。またその通り尊い告白を聞かせてもらえたし、味わうことはたくさんあった(法話で触れさせてもらた)。一方で、前期は、これまで済んだ人やご縁の新しい方が多くて、人選に困った。
そんな困った時ほど、不思議といいアィデアを浮かぶものだ。信・未信にとらわれず、若い(20代の学生の方々)に、いまの心境、法に対する姿勢を語っていただくことにした。3名の内、二人は身近な人である。事務所に勤めるAさん。問題なく決まる。そして、福岡のBさん。本部のご縁は少ない。またご両親との関係が色濃いが、今年になってからの心境の変化は目覚ましいものがある。思い切って電話してみると、「勅命を聞くとはこうするのか」というぐらい、「ハイ、やります」との二つ返事で、こちらが驚いた。一番、難色を示したのが、わが子である。でもこの場合は、「いやだなー」とハッキリ言えたことがよかった。無理強いをするつもりはないので、「イヤなものはイヤ」といえることは大切だったからだ。それでも数日、熟知の上、引き受けてくれることになった。わが子も、Aさんも仏の子ども大会で、自分の気持ちを率直に表明する機会(これは訓練といってもいい)を何度も持ってきているので、大丈夫だという確信があった。特に何の相談もなかったが、彼女は、「緊張する~」とはいいながらも、「原稿は作らず、本番の雰囲気でいくわ」といった言葉が頼もしかった。
そして案の定、いい企画になった。この新鮮さは、世間に揉まれて純粋さを失った者には、まぶしかった。Aさんやわが子のことはよく知っていたが、一番驚き、また有り難かったのがBさんである。しっかりと要も聴聞されている姿が尊かった。年に2度、家族の方や職場の方にご縁をつけたいと、ご自宅で家庭法座を持ちつづけておられる親の願いが、こんな形で結実したかと思うと胸か熱くなった。その意味では、3名とも親の願いを聴いているのである。
そして何もよりも胸を打ったのが、3名とも、増井悟朗先生の命懸けのご示談にあっていることだ。
浄土真宗の血脈、ご相続は「面授口伝」(面授口決)だと覚如上人は仰った。伊藤先生は、それを「師業口伝」といわれているが、いくら書物やDVD見聞できたとしても、直接、善知識と対座してご示談を受け、言葉だけでなく雰囲気や態度に肌で触れていることがあるのか、ないのかは雲泥の差があるのだ。
娘が小学校4年生の頃のことである。父は晩年になっていたが、その高齢の父が、「私は、これから命懸けで仏法を伝えます。あなたも命懸けで仏法を聞いてください」と、幼い孫を前に真剣に真実を伝えようと、ぶつかってきたことを話してくれた。今回、お願いした3名に共通しているのは、そんな悟朗先生の求道者の向って命懸けで法を説く姿に触れていることである。それは、僕自身の心を揺り動かした姿でもある。そんな方に出会えたことの幸せ、それが今日の僕自身のすべてだといってもいい。
とにかく、有り難いご縁でした。
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