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『ドキュメンタリー 沖縄戦』

毎年8月に入ると、京都シネマでは、戦争に関する映画が上映される。またこの時期は、ドキュメンタリー映画も多い。刺激を受けたり、目からウロコのドキュメンタリー映画が続けて4本(プラス以前の1本)を観たので、簡単に紹介しておこう。

 第1弾は、『ドキュメンタリー 沖縄戦』を観た。

 特筆すべきは、制作が「浄土真宗本願寺派」であることだ。しかし宗教色をあえて押さえている。冒頭に、ブッダの言葉や『大無量寿経』の言葉が字幕で出る程度であった。

 第二次世界大戦、日本で唯一の地上戦となった沖縄の惨状の歴史を、いくつかの重大事件を通して、総合的に扱った作品だ。1944(昭和19)年、米国の潜水艦の攻撃で本土に疎開中の多数の子供たちが犠牲(総数1500名)になった疎開船・対馬丸の撃沈に始まって、米軍が上陸した渡嘉敷島での強制的な集団死、そして沖縄本島上陸からの約3カ月間に渡る戦闘の激戦地や主な出来事が取り上げられている。それを当事者(生き残った体験者)が淡々とした口調で、当時の現実や惨状を語り、また専門家の証言も加わえて、単なる一般的な戦争の悲劇に留まらず、沖縄が本土防衛の捨て石として、本土上陸を遅らせるための時間稼ぎのために利用され見捨てられていく、沖縄の人達に対する差別が明かになってくるように思えた。結局、国家権力による軍隊とは、決して民衆を護るためにあるのでなはく、民間人から搾取しその犠牲を楯にしてでも、任務を遂行するおぞましい実体が浮き彫りになってくるようである。

 映画は、沖縄戦に焦点があたっているので、沖縄での組織的戦闘が終了するところまでの映像が主である。だか実際は、その後も部分的な戦闘が続き、疎開地でのマラリアや飢餓での大量死などの苦悩が続いていく。その構造は、戦前からのもので、終戦以降も現在にいたるまで変わらず、未だに沖縄が差別され抑圧されているのである。このあたりは、現地の施設の展示でも体系的に詳しく語られる。

http://karimon.cocolog-nifty.com/blog/2018/10/3-d58d.html

(余談)最後の字幕での協力者の中に、仏青のメンバーだった九州のお寺の方のお名前が…。一番びっくりしたかもしれない。 

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