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『愛好者に気をつけろ!~鈴木邦男~』

   8月に観た刺激を受けたり、目からウロコのドキュメンタリー映画が続けて4本(プラス以前の1本)のシリーズの第3弾。

  愛好者に気をつけろ!~鈴木邦男~』  4本の中でインパクトというか、意外性が一番だったのが、この作品だ。前の2本は、これまでの学びでの延長線にあるものであったが、この映画は、ぼく自身が、レッテルを張って決めつけていた偏見を破られたという意味で、一番、目からウロコ率が高かったのである。
 
 最初は、見ないという選択肢を取ったいた。武闘派右翼活動家として名を馳せた鈴木邦男を取り上げた映画だったからだ。右翼といいう言葉一つで、誰もが共通するような紋切り型が出来上がってしまう。愛国を叫び、天皇を崇拝し、旭日旗をはためかせ軍艦マーチの大音響の街宣車を走らせ、日教組(古いけど)や共産主義を攻撃し、反日的と決めつけたものを(映画でも芸術、新聞社でも人間で)実力行使で攻撃する。一言でいうと、自分とは対極にいる聞く耳を持たない怖い人達というイメージを抱いているからだ。

 ところが映画の主人公は、その紋切り型からの対極にある意外な人物像が映し出しされていく。

 寡黙で、質素な好々爺。本に囲まれたボロアパートに住み、さまざまな立場の人達の声に耳を傾け、若者の集会にも気軽に顔出し、孫のような娘にいじられても、ニコニコと黙っている。これが武闘派、民族派と呼ばれた人なのか。

 しかも、その政治姿勢にも驚いた。安保法制に異議をとなえ安陪内閣が勧める憲法改憲に反対し、反対勢力(立憲民主の議員)の選挙応援の演説をする。クジラ問題を取り上げ映画(ザ・コープ)が反日映画であると、映画館前での右翼の妨害活動の現場では、「映画も見ないで上映禁止はおかしい」と、体を張ったカウンター行動をとる。オウム真理教の信者たとも交わり、特に麻原の三女(アーチャリー)を娘のように可愛がり舞台ではその父親役(つまり麻原彰晃)を演じ、村井殺害犯で刑期を終えた徐裕行氏と上祐氏を引き合わる。または元拉致被害者家族会の事務局長で、今は安陪さんに批判的な蓮池亨氏と親交を結んだり、元連合赤軍のメンバーとの会合せ持っている。

 要は、さまざま政治、宗教、そして思想をもつ人達と、立場を超えて本気で付き合っているのである。そこにあるのは、相手に立場を尊重して耳を傾ける姿勢である。そして、立場で行動するのでも、世間の風潮や空気を読んで発言するのでもなく、自分自身が本気でその問題に向きい、自分の言動に対して責任を負う覚悟が滲み出ている。

 「批判精神がないところでは恐ろしいことしかおきない。批判精神と、批判される精神である」

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