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駆け込み寺(?)

 「仏書に親しむ会」は、唯一、平日の夜にある法座である。片づけを終え9時を回って、1階の事務所を覗くと、連れ合いが誰かと話いていた。相手は見えなかったが、参加者のお一人だろう。事務のTさんもまだ仕事中で、電話の声が聞こえている。

 何気なく事務所に入ると、連れ合いの前には見知らぬ初老の女性が座り、緊迫した雰囲気が漂う。がしかし、Tさんは、「ワハハハハ」と大声で笑っている。連れ合いには困惑の表情が。そして「死にたいです」という女性が話す。なんだ~この状況は? なぜ連れ合いが対応しているの? しかも一人は大笑いし、一人は泣き崩れ、そして困惑する者と、完全にカウス状態だ。
 
 「???」のまま、ぼくも座って、事情を尋ねる。女性は、初めての方だが、ご実家が同じ町内の方で、ぼくもそのお家は知っていた。なんでも、夫のひどいDV(家庭内暴力)から、家を飛び出して、足の向くままくると、知らぬ間に実家の方に向いていたという。しかし、いまは、代替わりで、彼女の住んでいるところ離れている。がしかし、ひどい暴力に堪えかねて、もう死のうと思っていた時に、華光会館の明かり見えて思い切って飛び込んできたという。たまたまTさんも大切な電話中で、そのことに気づかず、連れ合いだ対応したのだ。

 これも何かの縁だ。彼女の話を、徹底的にお聞かせに預かった。この場合、仏法の話も、アドバイスも一切なし。ひたすら気持ちに沿いながら傾聴させてもらった。1時間以上、彼女は話しつづけた。現状から生い立ちにも戻り、女の一代記、また父親が済州島から日本に渡ってきた経過なども話され、最後は現状の苦しさに戻っていくの繰り返しで、吐き出すだけ吐き出された。顔色も、どんどんよくなってくる。が、しかし、このまま帰っても、また暴力が続くだけで、何の解決にもなっていない。以前にも、フラフラ川沿いを歩いていて警察に保護されたこともあったという。しかし、そこから先が進まず、同じことが繰り返されている

 そこで聞くだけ聞いて、最後にインテークして、専門の機関に相談してきっぱりと対処することをお勧めした。当面は、以前、保護された警察署の担当者のところに行く決心をされた。幸い、ここから歩いて5分もかかならい。最後は、「ありがとうございました。身も知らずのものなのに、こんなに話を聞いてもらったことも、話したことも生まれて初めてです。死のうと思っていたことも、落ちついてきました。これから警察に行って相談します」と、近くの警察署に向かっていかれた。

 今夜ほど、カウンセリングの勉強が活きたこてはない。聞くことの力を強く感じたのである。南無阿弥陀仏

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