「日本の素朴絵」展
混雑を避けて朝一番に、しかも準備も万全だったおかげで、パスボートの審査は10分ほどで終了した。
早く終わったので、招待券を頂いた、龍谷大学ミュージアムに寄っていく。
あまり期待していなくて、行かない気持ちに傾いていた。が、これまでにないほど、ギャラリーが多くて驚いた。そしてその理由はすぐに分かった。国宝級の作品が並ぶと、確かに圧倒されるが、凡夫には難しいものも多い。
ところが、これは「ゆるい」「かわいい」「たのしい」美術とある。いまの流行りのゆるキャラの原点といってもいい。思わず、微笑んでしまう作品ばかりだ。それで、みんな、「あれがかわいい」とか、「ここかいいね」と、お連れさんと自由に語り合っている。ある意味では、「ヘタ・ウマ」の元祖といってもいい。六道の地獄絵だって、閻魔さんも鬼も、亡者も、微笑ましく、分かってしまう。国宝の地獄や餓鬼草紙のような、深刻さが微塵もない。
室町期から江戸期の作品が多いのも町衆の文化が生まれたからで、それ以前は、絵は、支配者階級(貴族や僧侶、武士など)のもので、庶民には縁遠いものだったのではないか。その分、構図もおかしなものがあるが、それがまた妙な味がでていた。
たとえば、「勝絵絵巻」には、、陽物比べ(男性器の大きなを比較して勝負する)、放屁合戦(おならで勝負する)といったオバカな作品があった。結局、室町時代も、今も、人間のお笑いは変わっていない。等身大の庶民のバカさ加減が面白かった。
江戸時代になると、有名な絵師や高僧のとぼけた作品が、目を引いた。禅僧なら、白隠禅師や仙崖和尚、高名な画家ら、尾形光琳に、池大雅、伊藤若冲、与謝蕪村などのビッグネームも、力の抜けた、ほほえましい小作品を書いているのである。彫刻なら、円空上人、木喰上人の作品は、あまりも有名だ。そんな中でも、一番気にいたのは、大正期の南天棒の「雲水托鉢図」。今回も、1、2を争う人気作だったようだ。
面白かったです。
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