『サタンタンゴ』
映画館に行くのに、久々に気合が入った。
ハンガリーの巨匠、タル・ベラー監督の『サタンタンゴ』 を観る。
気合が入ったのは、上映時間が7時間18分にも及ぶ作品だからだ。その合間に2度のインターミッション(休憩)を挟むので、8時間も要する長尺作品だ。12時30分に始まり、20時20分に終わるのである。
1本の映画では、ぼくの中での最長記録更新した。これまでは、イタリア映画『輝ける青春』の6時間6分が最長。 1960年代から40年にわたるイタリアを舞台に、ある一家の40年間の年代記を描いた大河ドラマだった。前後半で、途中1度の休憩があったので、380分も時間がかかった。同じく、みなみ会館だった。
この監督の作品は、これまで『倫敦からきた男』『ニーチェの馬』と3本目見た。『ニーチェの馬』は、なかなかすごい作品だったが、それを最後に56歳で引退した。本作は、39歳の時の旧作で、デジタル版での上映である。
さて、本作、とんでもない映像の連続だ。モノクロの映像は、長回しのカットで、時に延々と同じ場面(牛の群れの歩み、大風の中をただ歩き続ける。狂ったように妙なダンスを踊り続けるなどなど)で、しかも同シーンが違う角度のカメラで収められて反復される。
だだでさえ昼食直後の映画は、眠い。特にこの頃は、驚くほどよく寝る。歳である。ましてこの映像である。1部はかなり記憶を失っていた。おかげで2部からは起きていはいたが、少々寝ていても、問題がないと思った。同じ映像や、シ-ンが反復され繰り返されるからである。
そして最後のモノローグ。冒頭にモノローグの繰り返しである。あ、あ、もう一度、リフレインされ、循環され続くのだ、と。
7時間18分を終えても、特に感銘も、感動もない。退屈な映画だった。それが、直後の率直な感想である。
ところがである。同時に、もう一度観てみたい、とも思ったのには、驚いた。
彼の世界観の中に取り込まれてしまったようである。
| 固定リンク
「映画(欧州・ロシア)」カテゴリの記事
- 東寺からみなみ会館へ(2023.01.03)
- フィンランド映画『トーベ』(2021.10.21)
- 新月断食の日に(2021.03.12)
- 『異端の鳥』(2020.10.23)
- イタリア映画『幸福のラザロ』(2020.06.16)