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7月の聖典講座~深心(3)・順彼仏願故

 また「就行立信」とは、行に就いて信を立つことである。
 それは、釈尊の説かれた行は、すべて悟りに向かう善行ではあるが、阿弥陀仏の浄土に向かう往生浄土の因行は、第十八願に誓われた称名念仏が、正しく往生の決定する行業(正定業)であると信じることをいう。

 そこには、「正行」と「雑行」の別がある。『観経』にも、「正行」と「雑行」の別がある。正行とは、純正で、正当な浄土往生の行。一方、雑行とは、この世界での悟りを完成するために説かれた修行で、いわゆる聖道門の行。諸善万行ともいわれるように雑多で、種類は多く、純粋な往生行に対しては、雑行である。たとえば、三福とは、世間(親孝行や年長者敬うなど)・出世間(戒律を保つなど)の一切の善行であり、聖道門では正当な行ではあろうが、本来の浄土往生の行ではない。それを根機に合せてお説きくださったので、雑行と見られた。それに対して、専らに浄土往生のための正行がある。それが五種正行である。

「五種正行」とは、
1読誦正行(専らに浄土三部経などの浄土経典の読誦)
2観察正行(専らに阿弥陀仏とその浄土を観想)
3礼拝正行(専らに阿弥陀仏を礼拝する)
4称名正行(専らに阿弥陀仏の名号を称える)
5讃嘆・供養正行(専らに阿弥陀仏を讃嘆し供養する)

 さらに、ここには、「正定業」と「助業」(正助二業)の別がある。
「正定業」とは、正しく往生が決定する行業のこと。五種正行のうち、本願に選び定められた正定業は、「称名念仏」である。その他の「読誦」「観察」「礼拝」「讃嘆供養」の四正行は、あくまでも念仏生活を荘厳し、自行・化他のための宗教儀礼の実践行を顕している。つまり、助業の「助」には、随伴や輔佐の意味があるが、あくまでも、称名念仏を相続していく上で、自然と付き従う宗教的な行いといえるのである。それで「助業」と呼ばれ、その位置から「前三後一」ともいいならわされている。つまり、
 読誦正行-助業
 観察正行-助業 
 礼拝正行-助業   (前三)
 称名正行 正定業
 讃嘆・供養正行-助業(後一)
                         
 ところで、ここには、法然聖人が、比叡山黒谷の報恩蔵にて「一切経」五度読破した時に、自らの後生の夜明けをされた最重要の御文がある。

「一心専念弥陀名号、行住座臥、不問時節久近、念念不捨者、是名正定之業 順彼仏願故」                
「一心にもっばら弥陀の名号を念じて、行住座臥に時節の久近を問はず、念念に捨てざるは、これを正定の業と名づく、かの仏の願に順ずるがゆゑなり。」

 結局、称名念仏だけが本願の行なのである。この御文のなかでも、「彼の仏願に順ずる」。すなわち「本願に順ずる」、つまりその行が、本願にかなうのかどうか。この「本願」に順ずる一点こそが、法然様を貫き、さらに親鸞様へと受け継がれていく要だ。どんなに素晴らしく見えても、本願に順じないもの、かなわないものは、すべて捨てものなのである。

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