6月の聖典講座~『観経』散善(概説(3))
(4)最後に散善三観の概観である。
上品の三機は、 大乗の行である「行福」を修する善凡夫
中上・中中の二品は、小乗の行である「戒福」を守る善凡夫
中品下生は、 世間倫理的な善である「世福」を行う善凡夫
(以上は、善人の往生相)
下品の三機は、平生から善を成さない(三福無分)の悪人
(下品は、悪人の往生相)
特に、下品の三機は、平生は悪しかなさないが、それでも臨終に念仏を行い、浄土往生するので、一応、散善の機とみていいのである。その当面では、廃悪修善の念仏行で、自力念仏である。しかし、本願力回向の行である他力の念仏は、自力の散善ではなく、定散二善を超えた本願他力の行であると、特に親鸞様は深く頂かれている。
散善三観(三福九品)
1上品上生-行福-大乗上善の善凡夫
上輩観 2上品中生-行福-大乗次善の善凡夫
3上品下生-行福-大乗下善の善凡夫
1中品上生-戒福-小乗上善の善凡夫
中輩観 2中品中生-戒福-小乗下善の善凡夫
3中品下生-世福-世善上福の善凡夫
1下品上生- 十悪軽罪の悪凡夫
下輩観 2下品中生- 破戒次罪の悪凡夫
3下品下生- 五逆重罪の悪凡夫
(5)ところで、序分と正宗分では、順序の違いがある。
序分の説き方では、
「散善」[世善(世間的善)→戒福(小乗の善)→行福(大乗の善)]→「定善」の順序であるが、
正宗分での説き方では、
「定善十三観」→「散善」[「上輩観」(行福)→「中輩観」(戒福→世善)→ 「下輩」(三福無分)]→「他力念仏」へ の順序となる。つまり上位(難行)の行から下位の行へとなっている点に、注目した。
以上、今回は散善全体を概観して窺った。
7月からは詳細に読んでいくので、奮ってご参加ください。
★行事 聖典講座「観無量寿経」
★日時 7月7日(日)昼1時30分~5時
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