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4月の聖典講座~観音・勢至観(2)

  阿弥陀如来の左の脇士で、阿弥陀様の慈悲の徳を顕しておられる。
「観世音」とは、梵語「アヴァローキテーショヴァラ」の旧訳で、略した「観音」菩薩の名称が、広く親しまれている。新訳(玄奘三蔵の以降)では、「観自在」菩薩とも訳されている。
 観世音とは、世界の衆生が救いを求めるのを聞くと、直ちに救済するとの意味。観自在とは、一切諸法を空と悟り、一切の衆生の救済も自在であるとの意味。救いを求めるものの姿に応じて大慈悲を行ずるために、千変万化の相となるという。東アジアやチベットで、もっとも広く庶民の信仰を集めている。
 1聖観音を総体に、2千手・3十一面・4如意輪・5准胝・6馬頭(ここまで六観音)・7不空羂索(七観音)と続き、他に三十三観音が説かれる。この三十三という数字は、「西国三十三所」「三十三間堂」「三十三年に一度の御開帳」と、いまでも馴染みがある。
 インド南海岸にあるという伝説の補陀落山=ボータラカに住するというわれるが、。例えば、チベットでは、ダライラマは観世音菩薩の化身で、ボタラ宮殿が、中国では普陀山、日本では那智山がそうであると言われる。
 十二礼では、「観音頂戴冠中住 種々妙相宝荘厳 能伏外道魔驕慢 故我頂礼弥陀尊」とある。
 子供聖典では、「観音さまは冠に、お阿弥陀さまを頂かれ、悪魔外道もくじきます お阿弥陀さまたてまつる」とあるように、冠に阿弥陀仏の立化仏を頂かれているのである。

 次いで、大勢至菩薩についてである。
 観音様に比べる人気薄で、馴染みもないが、阿弥陀如来の右の脇士で、阿弥陀様の智慧の徳を顕している。
 「大勢至」とは、梵語「マハー・スターマ・ブラープタ」の漢訳。「大精進」「得大勢至」とも訳されるが、「勢至」菩薩の名が一般的。智慧の光の威勢があらゆるところに至り照らして、人々を教化し、三塗(地獄・餓鬼・畜生)を離れさせ、無上の力を得させて、浄土へ導く大勢力もった菩薩なので、大勢至と呼ばれる。
親鸞様は、『首楞厳経』による『勢至讃』を著し、かって十二の如来によって、念仏三昧を受けたので、今この世界で念仏の人々を摂取して浄土に帰される菩薩と頂かれている。右手に、蓮華を持ったり、合掌するなどの姿で顕されているという。(また続く)

 

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