『育ち合う人間関係』~カール・ロジャーズの功績
『育ち合う人間関係』~真宗とカウンセリングの出会いと交流~も、第3章の「ビハーラ活動と真宗カウンセリング」に入った。
今回は、ロジャーズのカウンセリングの核心について、8頁にコンパクトにまとめられた部分である。
来談者中心と呼ばれるロジャーズのカウンセリングのエッセンスが、西光先生の暖かい言葉で、明瞭、かつ易しく語られていて、心が揺さぶられた。
カール・ロジャーズの功績に始まり、その人間観、基本的仮説、そして態度について言及されている。
まず、カウンセリングや心理療法に「静かなる革命」を起したというロジャーズの功績は、もし医療モデルでいうならば、専門的知識や経験をもった権威者、専門家が、一方的に診断し治療するという一般的な治療モデルから、非指示的とか、来談者(クライエント)中心というアプローチに、180度変革させたことにある。つまり、人間関係におけるパワーの変革である。「力のある権威者」から「無力な依存者」に上から下の治療する方法から、クライエント自身のうちに、問題解決力、成長力が祕められているのではないか。専門的、権威的な態度で、知性に訴える解決法や説明、説得、助言を行っても、クライエント自身の問題解決には役立たないことが多いという。
ある意味、衝撃的な内容である。なぜなら、現実には、相変わらず、より専門的で、権威的な態度で、知性に訴える解決法や説明、説得、助言を行うことこそが、援助的であると盲信されているのが現状だからだ。その態度以外で、人はよくならないと堅く信じられているといってもいい。
しかし、援助的な人間関係とは、クライエントをあるがままに尊重して、クライエントの問題解決力や成長力を信頼し、そういう潜在力がいきいきと発現されるような心理的な雰囲気を醸成することに意味がある。それが、カウンセラー中心のカウンセリングから、クライエント中心のカウンセリングの大転換なのである。
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