電話機
この一年近く、電話の調子が悪かった。
まず、内線やインターホーンに雑音が入り出した。これが長く続くうちに、ますます聞きづらくなってきた。さらに外線の電話もおかしくなり出した。かかってきた電話が取ったと思ったら、数秒ですぐに切れてしまうことがある。それが連続で2度、3度と続く人もあった。こちらからかけるとつながったので、相手がわかる方はかけ直した。
様子をみていたが、なかなか改善しないので、修理依頼する。しかし、電話機(主装置)の寿命だといわれた。一応、応急処置で、外線の方は修復された。これで迷惑をかけることも少なくなった。これだけでも、随分気分は変わるものだ。でも、内線の雑音は続く。その点は不自由だが、会館内のことなので我慢しつつ、来年の2月の修繕の時に一括して交換するつもりでいた。その後、半年ほど、外線は問題なく使われていた。
その日も、前夜までは問題なかった。ところか、朝から、電話機はウーとも、スーとも言わなくなった。外線も、内線も、インターホンもすべて不通になった。なんの前触れもなかった。いや、正確には1年以上前から前触れはあったのだが、だましだまし先送りにしているうちに、完全に壊れてしまった。
元の装置を調べて見ると、そこまではコール音があるので、NTTの問題ではなく、こちら側の問題だ。すぐに業者に連絡し、翌朝にすぐに修理に来られた。だが、もう修理できる段階ではなかった。主装置の電源すら入らない状態だというのである。
ここで困ったのは、ぼくも、母も、Tさんも、携帯をもっていないことだ。唯一、スマホがある連れ合いがいるのが、彼女は、数日後には、劇団の仕事で3週間の出張が決まっていた。
応急処置で、事務所にだけ電話を復旧してもらった。しかし内線もインターホンもダメなのには困った。全部で7台なって、内線の設定もあるので、すぐに交換とはいかない。どの機種にするのかも、検討し相談する必要もあったし、業者側も発注の時間も必要だ。それでもかなり急いで日曜日には設営が完了した。22年ぶりに新しい電話なって、便利な機能も増えてもまだ使いこなせていないが、トラブルがあったことが嘘のようだ。
今回の電話機のことは、人間のいのちにも似ているとも思った。故障や調子が悪いのは、いわば病気や老いと同じだ。故障なら修理するのは、病気の治療と同じ。そして、完全に直ならないなら、不自由なままでもつきあえばいいといことだ。もっともそれは寿命が近いというサインだ。だから、いつ突然に、ダメになるかもしれない。前夜までは、まだ普通に使えていたのに、前ぶりもなく目が覚めたら生命が亡くなっていたということである。
しかしここからが違う。電話が壊れれば、交換すればいい。しかし、私のいのちは、交換ができないのである。
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