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聖典講座~定善(3)華座観・苦悩を除く法

釈尊が、「よく聴けよ。苦悩を除く法ぞ」と仰った瞬間、それに呼応して阿弥陀仏そのものが立ち上がってくださった。韋提希夫人は、阿弥陀様にお出会して、苦悩を除く法を聞き開くことが出来たのである。

 これはお釈迦様と阿弥陀様の二尊が一致したお働きである。しかし、釈尊の在世ならばともかく、末法の衆生はどうして阿弥陀様にお出会いさせていただくのか。そのために、当面の表向きは(顕)は、この後、華座観の観法以下、定善が再び説かれていく。しかし、『観経』は最後の最後に大どんでん返しか待っているのである。その流通分までいたる結論を踏まえて見るならば、他力の念仏一つを説くためのお示しである。

 韋提希夫人が出会った阿弥陀様とは、本願成就の正覚の弥陀である。無量寿・無量光の仏体は、南無阿弥陀仏という弥陀の名号と離れることはないのだ。「苦悩を除く法」とは、釈尊亡き後の末世の我々にも、生きて働き続けている大悲の呼び声(本願招喚の勅命)であり、南無阿弥陀仏(名号法)の雄叫びに出会うことに他ならないのである。韋提希が阿弥陀仏に拝見して救われたように、私も名号のおいわれを聞き開いた信心一つで救われていくのだと、親鸞様は頂かれている。

「行者正受金剛心 慶喜一念相応後 与韋提等獲三忍 即証法性之常楽」
(行者まさしく金剛心を受けて、慶喜の一念相応して後、韋提と等しく三忍を獲、すなわち法性の常楽を証せしむといえり)『正信偈』

         

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