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「真宗カウンセリングの課題」

 さて、最後に、「真宗カウンセリングの課題」(P188~190)を読む。

◎「法」(Dharma)は、釈尊の悟りの智慧によって明かされた無上正覚の内容と悟りである。
 それは、悟りを実現させたダンナミックな真理そのもの。無分別智と存在の実相が一つになった不思議な境地。つまり仏教の根本=「法」「悟り」「智慧」である。
 ・仏教=法に基づき、法を中心として、法を悟って仏に成ることを目指す実践道。
 仏に成る=人間を超えて人間を貫く法に目覚め、真の人間に成る。
 ・従来、仏教は東洋固有のものであったから、今後、すべての仏道が、西洋で発達して きた心理療法に、大きな光をなげかけるであろう。

◎また、最近(昭和63年当時)には、西洋からの提言(トランス・パーソナル心理学)が注目されていた。
 つまり、ケン・ウィルバーの「永遠の心理学」=西欧心理学に東洋の「道」の考察にも広範な視野を与える意識モデル-「意識のスペクタル」である。
 意識の深層装から表層に向け、(1)心のレベル、(2)超個人的帯レベル、(3)実存的なレベル、(4)自我レベル、(5)影のレベルの5つのレベルと、それぞれの治療法を配置する。その例えがでるが、これは今は略しておく。

◎それによると、ロジャーズのカウンセリング=実存的レベルの心理学と位置づけられ
大乗仏教=二元論を超えた世界への霊的実践として、究極的に位置づける。(大乗仏教とはあまりには大きな枠ではあるが、、)

◎以上から、真宗カウンセリングの二つの課題が導き出される。
1、ロジャーズと大乗仏教や真宗との距離は何に由来し、何を意味するのか?

2、あらゆる二元論を超える大乗仏教の実践道は、現代及び将来において、具体的に いかなるものとして提示されるのか?

以上の課題に、理論的にも、実践的にも、明確な解答が引き出さた時、「真宗カウンセリング」は確固たる存在意義を獲得するだろう。

と結ばれている。

今から30年以上前の論文である。非常に慎重な態度で、「真宗カウンセリング」という用語を使われていた西光義敞先生が、満を持して初めて、「真宗カウンセリング」を題目にされたもので、その意味も再度読む返して感慨深かった。

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