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『観経』~正宗分~定善の概観(2)

 まず、定善十三観のうち、依報(国土)観である。

1第一観・日想観…仮観。思いを西方浄土にかけるために、日の沈む方向を正視させる。浄土の真境を直ちに観る前段階で、この世界の日没所を借りて西方浄土の方向を教えるので、方便の観。

2第二観・水想観…仮観。娑婆の水平線を観て、水が氷となって透きとおり、瑠璃 の光りとなることを観想する。そこから浄土の大地が平坦であることを教える。 日想観と同じく方便の観。浄土が、平等普遍の徳があることを示している。

3第三観・地想観…この第三観から第七観までが、直ちに浄土の依報(国土)の荘厳相を観想させる真観となる。先の水想観を手がかりに、浄土の七宝の宝池は、清らかな瑠璃のように美しく、一点の曇りなく大地の底まで光り輝いていることを観想させる。

4第四観・宝樹観…浄土の宝樹を観ぜしめ、浄土の地上荘厳のすべてを観想させる。

5第五観・宝池観…浄土の宝池を観ぜしめる。宝池に流れる水の声は、悟りの法を 説き、水の光から生ずる百宝の色鳥は、常に念仏・念法・念僧の讃嘆する説法。

6第六観・宝楼観…浄土の宝楼を観ぜしめる。宝楼の中の無量の天人が、自然の音 楽を奏で、その音は虚空に満ちて、念仏・念法・念僧の讃嘆する説法となる。

7第七観・華座観…宝樹・宝池・宝楼とひろく浄土の荘厳を観したから、浄土の主たる阿弥陀仏を観想するために、仏の宝座(華座)を観想させる。ここまでが、依報(国土)観であると、善導様ご覧になられた。
 ここで、釋尊が「苦悩を除く法を説こう」と述べられると、突然、阿弥陀仏が韋提希の前に姿を顕される(住立空中尊)。

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