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『観経』「散善顕行縁」(3)~散善、三福の行とは?~

 今月は、「聖典講座」が2回あった。日高から戻って、レジュメの作業に入り、臨む。
 今回は、『観経』の発起序の最後、「定善示観縁」である。ただ、このブログでは、前回の「散善顕行縁」の後半、つまり三福、散善とは何かに触れていないので、定善に入る前に、簡単に述べておこう。

 散善とは、日常の取り乱した心のままで、悪を廃して善を修めていく行だ。定善十三観のあとに説かれる「九品段」に詳しいが、それに先立ち、散善を三福の行として、それが往生の行であることを予め顕す縁という意で、善導さまが「散善顕行縁」と名付けられた。そして、釋尊自らが散善を開かれたと、善導さまはみておられる。

 福をもたらす三種の善行、つまり三福を説いておられる。要約すると、次の三つで11種類の善行がある。

(一)世福=世間倫理的な善
 (1)孝養父母(親孝行に励む)
 (2)奉事師長(師や年長者に支える)
 (3)慈心不殺(慈しみの心で、殺生をしない)
  (4)修十善行(一不殺生、二不偸盗、三不邪淫、四不妄語、五不両舌、六不悪口、七不綺語、八不貪欲、九不愼恚、十不邪見)

(二)戒福=戒律を護ること。小乗の善
 (5)受持三帰(仏・法・僧の三宝に帰依する)
  (6)具足衆戒(衆戒-もろもろの戒を守る。五戒、八戒、十戒、具足戒 二五〇戒など)
  (7)不犯威儀(威儀=規律にかなった立ち居振る舞いをする)

(三)行福=自利利他行の大乗の善
 (8)発菩提心(さとり求めるこころをおこし)
  (9)深心因果(深く因果の道理を信じ)
(10)読誦大乗(大乗経典を口にとなえ)
(11)勧進行者(他の人々にもそれを教え勧める)
 特に、11番目の他の人々への働きこそが、利他行である。

 これが九品に配当されていく。詳しくは、また九品段で紹介するが、簡単に述べると、
(三)行福は、上品上生~上品下生
(二)戒福は、中品上生~中品中生
(一)世福は、中品下生となる。
 では、善をなせない、悪人の下品の者たちのはどうなるのか。念仏の行が示されるのだが、その時に詳しく。

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