『ニッポン国VS泉南石綿村』 ~VS国家権力な映画(2)
鬼才、原一男監督の『ニッポン国VS泉南石綿(いしわた)村』は、予告篇と休憩を含めて4時間の長編映画だ。 http://docudocu.jp/ishiwata/
泉南のアスベスト被害者の映画である。といっても、裁判の様子は録画はできない。しかもごく普通に生きている庶民たちを被写体だ。それで4時間もの長尺ドキュメンタリーなのだがら、少しきついかな、爆睡も必至だとも思ったいた。
ところが、これが面白かったのだ。ただダラダラと長いとのではない。8年間の記録をたった4時間に収めるには、あまりにも短いとも思った。
そしていろいろと考えさせられた。一緒に闘ったいるような気にもなった。長期化する裁判に、原告が次々と亡くなっていけば、怒りや無力感に悔し涙を流す遺族と同じ気持ちにもなるし、石綿肺で七転八倒する被害者の苦しみは痛かった。また、国(お役所)のいい加減さにあきれ果てた。はたまたは、裁判制度や司法ムラ(弁護士も含めて)のあり方にも不審が起こって来た。そこに、貧困や在日朝鮮人問題も絡んで来るし、被害者の立場にもいろいろあって、一方的な弱者だともいいきれない面もあった。被告側にもさまざまな方針や違いがあるのだ。さらに裁判過程でも、一審で勝訴しても、二審、最高裁と、国家も容赦ない。時には、不可解な判決ももたらされる。闘い方も、裁判以外にもいろいろとあることもよく分かった。
無力な私達が、巨大な国家と闘うということがどういうことなのかをよく分かるのである。国家(国家権力)の得たいの知らなさがよく分かる。その滑稽さや残酷さが、普通の庶民の姿の上に現われていた。
アスベスト被害については、次のHPなどでご理解ください。
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