真宗大谷派九条の会の全国大会に出席する。
毎年、この時期にあり、もう5年連続でご縁を頂いている。もともとは同人の方が、事務局でお世話をされていることもあったからだ。
今年は、「差別する心 向き合っていますか?」というのもだ。正直、お東の社会運動の集まりでのこのテーマは、その雰囲気から苦手かもしれないな、という思いで参加した。
講師は、フリージャーナリストの安田浩一氏。残念ながら、ぼくは不勉強で、講師のことはまったくしらなかった。でも、すごい熱量の話だった。高性能のマシンガン(たとえはよくないか)のように言葉が、次々と猛スピードで飛び出してくる。その勢いに圧倒されるようだか、それも心地よい雰囲気があった。
講演は、想像していたのとは違うテーマで始まった。
まず、沖縄を高江の問題を取り上げた番組を観た。昨年のお正月
に放映された「ニュース女子」という番組だった。沖縄の高江の反対派に対して、デマを流し、貶め、沖縄だけでなく、中国人や韓国人をも定番のやり方で差別していく映像だった。しかも問題は、ネットではなく、TV電波で流されている点だ。あまりに低俗的で、不快感しかなかった。デタラメであることは、すぐに分かった。取材していないのに「これ以上は危険なので近寄れない」とか、反対派は、韓国人が名を連ねる反日団体から日当をもらって参加するプロ活動家だとか、現地の人(有名ないわくつきの人)が「沖縄の人達の大半が基地賛成」だと語ったり、県外からの反対派は傍若無人の無法地帯を作るテロリストだと断定している。そんな内容を面白いおかしく(沖縄を基地問題を冷笑している)伝えている態度も、どうも不愉快だった。不思議に思ったのかは、合間のCMがカットせずに映されたことだ。これは、後からこの番組がDHCが提供、制作した丸々の持ち込番組だという話があったので、その意味が分かった。なんでも、この東京MXの「ニュース女子」は、BPO(放送倫理・番組向上機構)の検証委員会から、「重大な放送倫理違反があった」とする意見書が出されッた。至極、当然である。が、すでに放送されたことで、日ごろ語られない真相だと、デマを信じた視聴者もいたのだ。
これをもとに、いかに差別が造られていくのか。またそれか無意識に伝播されていくるか。その生み出される構造と問題点を、とても熱く熱く語られて、ほんとうに引き込まれて入った。沖縄基地の問題は、けっして地域(沖縄)の問題ではなく、日本人が自らの問題にする日本全体の問題であることを改めて認識させられた。
大半が沖縄の番組の話題になったが、最後に、ヘイトスピーチの問題やその定義、ネット差別などの問題点を教えていただいた。
人の好き嫌いとか、言葉が下品とか乱暴であったり、罵り合ったりすることをヘイトスピーチというのではなく、自分の努力だけでは乗り越えられないような属性(性別や民族、肌の色、出身地やハンディー)などに対して、多数派から少数派に対して、その人間存在を根底から否定するような憎悪に基づく言動をいうのであって、それが分断を生み、憎しみを生んでいくものであること。やり玉にあげる目の前にいる人を、まるで同じ人間としては見ずに、当然、その心情に心を向けることもなく、それを半分趣味のように、自らのカタルシスの場として楽しんでいることの深い傷をお話くださったのが印象に残った。
後は鼎談がなったが、これも面白かった。さっそく新書を2冊購入。勉強中。