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「いま、ここ限定法」

 9月の真宗カウンセリング研究会。月例会は月1回、水曜日の夜に、龍谷大学の深草学舎で開かれている。今回は、新会員が担当くださる。参加者が少なかったことが幸いして、まるでエンカウンターグループの様相となって、皆さん、自分を開いた表明が続く。受容的な雰囲気が支配していたので、自分のところを構えず、自然に話すことができた。ベテランカウンセラーが涙を流しながら、いまの自分を語ってくださったのが印象的。

 そういう雰囲気になったのも、今回輪読した「育ち合う人間関係」の内容が果たした役割も大きい。

 内容を要約するとだいたいこうだ。

 グループに参加する時、自己の内面で、「いま、ここ」の人間関係と経験過程そのものだけを重視しようはと、意識的に制限を設けて、たえずそれを護るようにすると、「いま、わたしこのように感じている」「いま、あなたはこう考えているのですね」と、かんじんの「自分」を置き忘れこともなく、話題が外側に限りなく広がるのでもなく、ひとのことばかりあげつらったり、非生産的な抽象議論に流れることなどが防げて、常に、「いま、ここ」の自分や関係に帰っていけるというのである。そうなると経験と意識とが一致し、それに応じて造られる人間関係が次第についわりのないもの、真実のもになっていくにちがいない。

 そしてその修練を積むことで、日常生活の人間関係が、カウンセリングの学びの場となり、またカウンセリングの経験で身につけた態度が生きてくる。つまりは、いま、ここの経験事実に徹底的に忠実になろうとするとき、「一期一会」という真宗的な生き方をほんとうにしているのか、いつわりのない自己凝視や謙虚な聞法態度が一貫しているのかが、常に厳しく問われてくるようになる。カウンセリングと浄土真宗との関係が、生活的にも体験的にも一枚になるととこがあると、述べられていた。

 未熟ではあるが、僕自身もそのような「いま、ここ」の態度で臨むようにお育ていただいていることをしみじみと味わう。しかもここに、カウンセリングと浄土真宗が、、また私の生活との共通の土壌があるといっていいのだろう。

 次回(10月)からは、いよいよ「真宗カウンセリング」成立の章に入っていく。

 

 

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