森田療法と内観療法
『選択本願念仏集』に引き続いて、「仏教カウンセリングとビハーラ活動」の講義を受講。先月は、縁起と家族療法の実践(ロールプレイ)だったが、今月は講義が中心。日本が生んだ心理療法で、仏教の影響が色濃い「森田療法と内観療法」について。講義といっても概説的な話ではない。まず禅の影響が色濃い森田療法は、京都の東福寺の前にあった三聖病院(残念ながら今はない)で行われていた森田療法の実際についての院長の話から。また浄土真宗の身調べ(信心獲得のための機を問う罪悪観)がルーツの内観は、講師の奈倉先生が9日間、実践された内観療法の体験談で、極めて実践的な内容だった。医者として、また大学教授の身でありながら、地位を度外して、実際に体験され、また自分内面の弱さまで赤裸々にお話くださる姿は、尊く思えた。
内観は、ひとりで真剣に自己と向き合う面もあるが、実は、自分のひとりでは自分は知れない。自分と他者との関係。一番の関係深いのが、母親との関係、父親との関係であり、その関係性の善し・悪しに関わらず、私と両親と関係性が、私の対人的関係の基盤になっているのはいうまでもない。「人」ではなく「人間」という言葉が示すように、関係の中でしか真の自己に目覚めていくことはできないというのである。
そう考えると、ほんとうの自己に目覚めるとは、人間関係を超えた阿弥陀様の働きかけ(関係性)に気付く以外には知られないということにもなる。常に、無量のいのち(ひかり)から、一方的に私へ働きかけられている。その私にかけられる無量のいのちのはたらき、その根源に目覚めさせていただくことが、真の自己を知り、阿弥陀さまと出遇うことだといえよう。
二人組での内観実践を計画されていたが、十分な配慮や関係がないと問題も起るので、日時を改め、少人数での実践が行うことになった。
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