阿弥陀経(2)十六羅漢
今月から本文で、まず「序分」に入る。序分とは、お経の序たる部分で、一般の序章にあたる部分だ。ここは阿難尊者のお言葉である。
詳しくは、証信序(通序)といわれ、全てのお経にほぼ共通した部分。この説法が信ずるに値する証拠を挙げられるが、それが六事成就である。(なお、阿弥陀経には、発起序がないことは、前回解説した)。
六事とは、
一、信成就=「如是」 かくのごとく
二、聞成就=「我聞」 われ聞きたてまつり
三、時成就=「一時」 ひととき
四、主成就=「仏」 仏
五、処成就=「在舎衛国祇樹給孤独園」 舎衛国の祇樹給孤独園に在しまして
舎衛国とは、コーサラ国の首都。マガダ国(王舎城)と並び当時の二大強国で、波斯匿王が治めていた。
その中に「祇樹給孤独園」-舎衛国の祇陀(ジェータ)王子、大富豪の給孤独園(スダッタ)長者の黄金を敷きつめる逸話から起ったので、「祇園精舎」と呼ばれている。
の5つと、衆成就、すわなち聴衆のことである。
さらっといってもよかったが、今回は、阿弥陀経の会座に集う人達を、じっりく窺っていた。
大別すると、次ぎ3種の人々になる。
六、衆成就=千二百五十の仏弟子(十六阿羅漢他)と、菩薩(四菩薩他)・帝釈天等の天と大衆
(1)「大比丘衆千二百五十人倶」-大比丘の衆、千二百五十人と倶なりき。
十六羅漢=(1)*舎利弗(智慧第一)・(2)*摩訶目ケン連(目連・神通第一)・(3)*摩訶迦葉(頭陀第一)・(4)*摩訶迦旃延(論議第一)・(5)摩訶倶チ羅(大住・得解第一)・(6)離婆多(舎利弗の末弟)・(7)周利槃陀伽(周利槃特)・(8)難陀(釈尊の異母弟・調伏諸根第一)・(9)*阿難陀(阿難・釈尊の従弟・多聞第一)・(10)*羅ゴ羅(釈尊の実子・密行第一)・(11)キョ梵波提(牛王・解律第一)・(12)賓頭盧頗羅堕(獅子吼第一)・(13)迦留陀夷・ (14)摩訶劫賓那(比丘教誡第一)・(15)薄拘羅(長寿第一)・(16)*阿ヌ楼駄(阿那律・天眼第一)=*十大弟子(7名)
(2)「諸菩薩摩訶薩」もろもろの菩薩・摩訶薩
(1)文殊師利法王子・(2)阿逸多菩薩(弥勒)・(3)乾陀訶提菩薩・(4)常精進菩薩
(3)「釈提桓因等・無量諸天・大衆倶」
帝釈天等の無量の諸天(流通分から、阿修羅も含むと思われる)
大衆(一般市民)と倶なりき
となる。
主に十六羅漢といわれる釈尊の高弟たちについてだ。
大乗経典では、声聞方は一段低く扱わるが、本来は、釈尊の右腕、左腕となり、異教徒の殺害されるのも畏れず、仏法を弘通された先達たちである。また釈尊亡き後も、その衣鉢をつぎ、教団を維持し発展させた、仏法の大恩人の方々だといってもいい。それぞれに物語があるので、主な方だけでも山辺習学先生の『仏弟子論』を参照しながら頂いた。尊かったです。
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