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龍象、火を吐きし頃

 報恩講が終わって、同人会ニュースの編集作業へ。先の総会の報告である。
 巻頭は、昭和21年の伊藤康善先生の誌上法話。法話というより感話である。いまから70年以上前の記事だが、父が、龍谷大学に入学した以降、龍大の真宗学生(僧侶の卵)が、華光に出入れするようになったことをたいへん喜ばれている。龍大は、真宗学の最高学府とはいえ、現在は大密林地帯だ、と言われている。その大密林地帯の野象たちが、慣らされた象に感化されて、信の一念の鉄柵に捉えられていく、伊藤康善先生のお得意の譬えである。が、最後には、龍大には宿善を篤い人達が集まっている。野象に譬えるのは失礼だといわれいてる。

 その後、後生の解決をした象たちが、再び密林に戻ったり、人間界に出たりしながら、さまざまに活躍をすることになるのである。野象ならぬ龍象である。龍象とは優れた象のことで、高僧の意味である。高僧を、威力ある龍象に譬えた仏教用語だ。

 まさに「龍象、火を吐きし頃」を迎えたのである。 

 しかし、それも70年前のこと。今日の龍大の姿をご覧になられたら、先生はどう思われるだろうか。

 その伊藤康善先生も、来年1月9日で五十回忌を迎えることになる。

 

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