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『この世界の片隅に』

 今年の日本のアニメション映画は豊作年だった。しかし3本ともジブリ系ではない。
 
 人気、動員では、『君の名は。』がダントツで、社会現象にもなっている。映画の出来では、『聲の形』や『この世界の片隅に』もけっして劣っていない。むしろ『この世界の片隅に』は、今年の邦画ベスト10に入る名作ではないだろうか。

 1「あまちゃん」の能年玲奈が「のん」と改名して、戦前から戦後を市井の女性の独特な雰囲気で好演。のどかで平和な戦前の少女時代に始まり、広島から呉に嫁いだ日常生活の細々した暮らしぶり、ごくごく平凡な人達に襲いかかる戦争の悲劇が、とても繊細なタッチで描かれていた。

 原作者のこうの史代は、一度、『夕凪の街 桜の国』を実写映画を見たことがある。今度はアニメ。戦争四部作で有名な故黒木和雄監督の作品にもつながる気がした。

 今年になって、呉の大空襲を経験した人から、猛火の中を養父母に両手を引かれて足が地につかないほどの勢いで、必死に逃げまどう話を聞いたばかりだ。土地柄、海軍勤めの方も下宿されていたという。猛火が収まり、広場に集まった時に、消化活動をせずに、いち早く子供連れて逃げだした父親が「卑怯者!」と罵倒され、鉄拳の制裁を受けたなと、60年前のことをまるで昨日のように、なまなましくお話くださったのが印象的だった。まるまるこの映画の世界であった。

 おススメです。

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