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『何者』

  『何者』は、 6名の人気若手俳優が織りなす群像劇だ。

 女優陣は、二階堂ふみと有村架純、男性陣は、佐藤健と菅田将暉に、岡田将生、それに山田孝之が絡む、まさに旬の若手俳優が勢ぞろいした青春ドラマだ。青春ドラマといっても、リアルなシュウカツ(就活)がテーマである。SNSでのコミニケーションを駆使する現代の若者気質と合わせて、うまく描かれていた。劇中で、演劇がキーワードになっていることもあって、映画自体が舞台で繰り広げられる演劇ように演出されているのも、面白かった。

 ぼく自身には、シュウカツの経験はない。ぼくの回りでも、大学生時代にシュウカツは盛んではなかった。9割以上が、寺院の師弟という特殊な環境で、だいたいが次ぎの進路が決まっているものも多かった。就職するにしても、本山か、故郷に帰って兼業が可能な公務員(役所か、教員か)になるコースも多かったのである。当時は、携帯も、インターネットもまだない時代。はるか大昔のことである。

 隔世の感ではあるが、現代のシュウカツ事情をかいま見せてくれるこの映画は、興味深かった。結局、「私は何者なのか」が問われるプロセスが、面白かったのだ。

 ところで、匿名性のあるSNSの危険性がしばしば指摘されている。しかしほんとうに恐ろしいのは、それを操るこの人間にある。普段は隠されている、もしくは隠している心の闇が、密かに露わになるだけのことかもしれない。結局、どのような便利なツールが生まれても、最終的に発信するのはこの生身の人間であり、使い方や発信の次第では、毒にも、薬にもなるということ。まあ、大半は、毒にも薬にもならない、自己満足のための垂れ流しなのだろうけどね。

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