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『64~ロクヨン』前・後編

 このところプログでは、ドキュメンター映画ばかりを取り上げている。この先も、その手の映画を取り上げることが多いだろう。しかし、別ににドキュメンター映画ばかりを観ているわけでなはい。大半はミニシアター系の外国映画だが、大手シネコンの話題作やヒット作も観る。そんなヒット作の中で、文句なくよかったのが、日本映画『64~ロクヨン』前・後編だ。

 「たった7日間でその幕を閉じた、昭和64年。その間に起きた少女誘拐殺人事件、通称「ロクヨン」」。昭和から平成になる混乱の中で、大事件の報道があまりなされず、時効が1年に迫ってくる。そこで、さらなる模倣誘拐が起きる…。
 ロクヨンの専従班だった主人公は、広報官として、マスコミ対応に追われている。現場の刑事ではなく、広報官が主役の警察ドラマも珍しい。情報公開を求めるマスコミ(記者クラブ-ここにも本社と地方の格差がある)と、不都合な情報を隠蔽しようとする上層部との間に挟まれて、葛藤の毎日だ。その上、警察内部も複雑で、たたき上げの現場組と、東京から来たエリートのキャリア組との対立もある。「クロヨン」の専従班の内部でも、隠蔽工作がある。

 すべてにNHKでテレビドラマ化されている。重厚な息詰まる演出に魅せられた。映画では、佐藤浩一が主役だが、テレビは、ピエール瀧が演じた。押し出しが強い佐藤よりも、中間管理職の必死感が伝わるテレビ版の方が、よりリアリティがあってよかったと思った。原作やテレビはD県警と仮名だが、映画では、群馬県警と実名になっているが、別に他意はないのだろう。

 テレビがとてもよかったので、原作の小説も読んだ。それで、ストーリー展開や犯人も分かった上で、期待半分、不安半分で、映画を観たが、重厚なテーストはしっかりたもって面白かった。

 最近の前・後編の映画は、水増しがあって、わざわざ二編にする必要がない作品も多い中で、これは、前・後編がつながりながら、それぞれに違うテーマももっていて、共に高水準というのも、最近では珍しい。

 後半のラストは、テレビから大幅に変更されて、一工夫なされている。加害者との激しい対峙とか、もともとは被害者(から誘拐事件の加害者)の心情も、ラストに静かに描いていた。うーん、どちからがよかったのかなー。ゴチャゴチャ入れないテレビ版でも充分そのあたりの心情を察せられる気がした。緊迫感という意味では、前編がよかった気がする。それでも、前後編共に、大人(特に中年男性が好きだろうな)の鑑賞に堪えうる作品。

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