『般若経』は後継者?
大乗経典の不思議な世界の2回目は、『般若経』。正確には、『般若波羅蜜多経』は、『法華経』とならんで、初期大乗経典を代表するもので、『法華経』が大乗仏教の信仰を担う経典ななら、『般若経』は、大乗の哲学の経典といっていい。『般若経』という単独の経典があるのではなく、大小100種類もあって、それをまとめたものが、玄奘三蔵が訳したいわゆる『大般若経』、実に600巻もあるという。この初期の大乗経典が、初期(原始)経典の体裁はとっているが、その後継者なのか、それとも破壊者なのかという講義。
あらい結論からいとう、アビダルマ思想に精通した、否定するカテゴリーを理解している専門家(集団)が、言語表現の限界を「空」として表現しいるのであって、既存(原始)教団からの後継者として見ていいという内容だった。
ところで、「波羅蜜多」=パラミータは、「至彼岸」とか「度」などと訳されて、「彼岸に至ること」、つまり「智慧(この先生は、智慧=知性と常に言い切れている)の完成」(この完成という訳が、定説になりえていない)という意味で言われてきたが、実は、これはかなり強引な訳で、今日の定説てはない。あくまでも「波羅蜜多」は、菩薩の行、つまり六度、六波羅蜜をいうのである。その六番目が「般若波羅蜜」で、「一切を空とみなす知性」のことだといわれた。
なるほどね。ぼくがこれまで聞いてきたことは、昔の説ということですね。
ところで、参加者の関心があるということを見越して、最後に『般若心経』の講義があった。
本題ではないが、これはこれで面白かったので、また改めて。
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