5月の聖典講座~三毒段~
『大無量寿経』の講義も、主聴衆が阿難尊者より弥勒菩薩に変わり、場面も急転化して「釈尊の勧誡」(お釈迦様のお勧めと誡めの説教)が始まった。本段はさらに、「大悲摂化」と「現土証誠」の二段に分科されるうち、まず「大悲摂化」の一段で、「悲化段」とか「三毒・五悪段」、「浄穢欣厭」とも言われている。大悲摂化は、釈尊が大悲のお心で、その仏眼に映る痛ましい人間生活の現実をありのままに説かれて、仏法をお勧めになる段で、さらに「三毒段」と「五悪段」に分科される。
前回から三毒段にはいっている。今回は、三毒段の愚痴から始まって釈尊と弥勒の応答、つまり、釈尊のお勧めと弥勒の領解を味読した。
教義的な問題点云々というより、お釈迦様の目に映った私のありさまの現実と、そこを踏まえた聖者方(釈尊と弥勒菩薩)のやりとりなので、極力、そのままを頂き味わった。
三毒段の概観は、
(1)貪欲(求財の苦、有財の苦、無財の苦)
(2)瞋恚(怨憎会苦、愛別離苦)もう少し広く人間であることの悩み苦しみ。
(3)愚痴(1因果を信ぜず、2親子代々邪見を相続し、3無常を覚らず、4そして仏道を失い、5ますます恩愛に縛られ、6悪を造って苦しでいく)
と最後にまとめがある。
そして、以下、釈尊-弥勒、釈尊-弥勒の問答が続いていく。
まず、三毒の厭うべきことを述べ終え、安楽国を生まれるように願えという釈尊の勧めを受けて、弥勒が領解を述べて、如来の御恩を喜ばれる段。
さらに、再度、釈尊は、弥勒菩薩のまことの行と、仮の行とをほめ、生死を厭い、疑いを滅して浄土往生せよとお勧めになる段があり、最後に弥勒が重ねた懇ろなご教化を喜ばれるのである。
でも、仏眼に映った痛ましい現実はこれで終わらない。釈尊は、さらに五悪段で、ますます仏法に背き暴走する私達の痛ましいありさまを、これでもか、これでもかとお説きくださるのである。
次回は、6月5日(日)1時30分~5時
五悪段の第1回に入ります。奮ってどうぞ。
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