浄土五祖伝を読む~道綽様~
一年ぶりに、仏教大学一般向け講座に出席しいた。
浄土宗教学院の提供講座なので、この講座は無料である。 昨年から法然聖人の『類聚浄土五祖伝』を原文で読む講座が始まっていて、もうすでに曇鸞様は終わっていた(残念!)。今月から、道綽様の2回目に入った。
『類聚浄土五祖伝』といっても、なかなかピンとくる方も少ないだろうが、浄土真宗では『真宗聖教全集』の第4巻にある『漢語燈録』に収録されている。
ところで、法然聖人は、すこぶる直筆が少ないお方で、確実に法然様の直筆と言われいるものは、『選択集』冒頭の二十一文字とか、『七箇条制誡』の「源空」の署名と花押とか、若干のお手紙と、金戒光明寺にある『一枚起請文』など、ほんの6点程度しかないという。一方、法然様の遺文集としては、親鸞聖人直筆である『西方指南抄』の価値が高く、国宝にも指定されている。また他には、漢文で書かれたものを集めた『漢語燈録』と、和語(仮名まじり)で書かれたものを集めた『和語燈録』などがある。『漢語燈録』に収録されているのだから『類聚浄土五祖伝』は漢文だ。これを原文で読むのだがら、一般向けとはいえ、少し専門的でもある。
とはいうもののその内容は伝記なので、決して難しくはない。華光の皆さんだって、実は、少しは知っておられる。 悟朗先生の『正信偈講讃』(レジュメ)での曇鸞、道綽、善導、お三方の略伝は、主に『類聚浄土五祖伝』を参照されているからだ。
そのなかで、道綽様の略伝は、道宣の『続高僧伝』、迦才の『浄土論』、他に『瑞應伝』『新修往生伝』の4つが引用されている。後の2つは時代が下がってくるので、主に『続高僧伝』と迦才『浄土論』を読む進めておられた。
前回の復習として、慧瓉師のもとで『涅槃経』の研鑚に励み、禅定と戒律の実践に勤められるも、玄中寺で曇鸞様の碑文に出会い、48歳で浄土門に転じられる。その背景には、廃仏派の武帝によって母国の北斎が滅ばされ、仏教弾圧がおこり、末法思想が現実となったことや、同時代の信行師による三階教の影響も大きかったと言われる。聖道門を廃して、時機相応の浄土門に転じられているが、それを「二由一証」(1大聖を去ることが遥遠く、2、理は深く解(さとり)微なるという理由と、『大集月蔵経』で証明する)をあげておられる。
今回は、『観無量寿経』を講義すること二百遍に及び、常に念仏を申し、また多く老若男女を教化し、邪見誹謗の者までも、その遺徳に打たれ念仏に転じるなどのご教化の様子、さらに、貞観三年四月八日に、命終を告げられ、多くの人達が見守るなかで、七宝船上に曇鸞大師が現れて「浄土に場所はあるが、まだ命は盡きていない」と言われ、化仏が散華をし、その花は七日間枯れることがなかった。そして、蘇生された時、道綽様は70歳だったが、なんと乳歯が生えるなど以前より壮健となられて、ますますご教化に励まれるというところまでを読んだ。
実は、この他に善導様の二河白道のルーツの話などを聞いて感銘したことは、また次回で。浄土宗の視点もあるので、刺激をうけることも多い。今年は、大乗経典の講義も受講するつもりでいる。
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