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『カール・ロジャーズ』

 3年間かけて、ブライアント・ソーン著の『カール・ロジャーズ』を味読してきた。監訳者の諸富先生によると、本著は、世界でもっともよく読まれているカール・ロジャーズのそしてクライエント中心療法に関する入門書であり、本書によって、ロジャーズのエッセンスが正しく理解されることを願って刊行されたという。幸い、研究会には、本著の翻訳者の皆さんと一緒に、イギリスでブライアント・ソーン氏のワークショップに参加された方も参加いただけた。

が、入門書というものの、けっしてやさしいものではない。翻訳のせいなのか、かなりわかりづらい表現も多いので、読みこなすのに苦労した。また、ロジャーズの言葉と、著者の見解が入り交じっているので、ロジャーズが言っているか、ソーン氏が言っているのかが、わかりずらい個所が多かった。それに、1冊の中に、ロジャーズの個人史、理論の概観、実績と、その影響、そして批判に、その批判に対する反論が収めているので(これだけ多岐にわたると仕方ないことだが)、総花的になって、読む側にすると説明不足でよく分からないという思いが強く残ってしまった。特に、本書を選んだのは、晩年のスピリチュアルな側面にこそ、ロジャーズの理論や実践の核心があるという視点に、興味をもったが、正直、そこが一番わかりずらかった。

 その中で、個人的には、第1章のロジャーズの生涯を追うことで、ロジャーズ自身が、真に自己自身になっていくプロセスは、一緒に彼と人生を旅をしているかのようで、ある種、感動的でもあった。

 5月からは、西光先生の本を予定している。

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