カンボジア紀行(1)アンコール・トム
朝8時30分に関空に集合し、ベトナム・ホーチミンで乗り継ぎ、カンボジアのシェムリ・アップに到着したのは、夜9時を過ぎていた。夕方着の予定が、飛行機の変更で遅くなった。初めてのカンボジア料理(クメール料理)と、アンコールビールを飲んで、ホテルに入ったのは、11時を過ぎ
ていた。5星の高級ホテルだが、 回りには欧米(旧宗主国フランスなど)資本の最高級ホテルが並んでいる。
2日目から遺跡巡りが始まる。今日は、午前に「アンコール・トム」周辺、午後に「アンコール・ワット」と、メーンの遺跡巡りである。
ガイドのKさんは、とても日本が上手く、博識。29歳と若いのに、どんな質問をしても、すぐに答えが返ってくる。きょうだいの二人までが、日本のNGOの支援で、日本留学をしている
が、ご本人はまだ日本訪問がいちばんの夢だという。まず「雪をみたい」「桜をみたい」、そして「地震を経験したい」というのが、面白い。でもそれは簡単には実現しそうにない。日本のビザがおりるのには、日本の保証人、$1万の預金があることなど、さまざまな制約があって難しいと歎いていた。今回の旅がよかったことの一つは、このガイドのKさん
の真面目な人柄が大きかったと思う。
さて、最初に7日間有効でパスを$60で購入。これで周辺の遺跡はすべて入ることができる。「アンコールワット」の前を通って、「アンコール・トム」遺跡に向かう。
四門出遊ではないが、東西南北の門がある。南大門から入場する。ここも四面が観音像である。その左右には、アンコールワットのレリーフにもある乳海攪拌のモチーフで、神と阿修羅がナーガ(日本では竜神)を綱引きする像が立っている。
こちらは大乗仏教の寺院で、日本なら法然さ
まや親鸞さまの頃だ。同じ大乗仏教といても、国家権力や死者供養の色合いが濃い。
須弥山を模した塔の四面には、観世音菩薩が微笑んでいる。巨大な顔、顔、顔の人面塔が迫り、圧倒的なスケールだ。
日本にいるときは、クーメルの微笑みに違和感は抱いていたが、実際、現地に立ってみると、そのスケールと量的表現に圧倒されて、感動的だ。なかには、「お笑いの京歌子さんに似ています」との説明された観音像もあったが、後日、事務所のRちゃんに話したら、「誰ですか?」と尋ねられた。日本の若者が知らない人を、カンボジア人の青年から聞いたのが、可笑しい。
巨大な人(観音だが)面だけでなく、細かなところにも、女神や神、仏などの細工がある。
特に、第一回廊には、もっとも輝かしい功績を起した当時の王様の偉業を称えて、クメール軍(カンボジア)と、チャンパ軍(ベトナム)の戦いの様子が、詳細描かれている。クメール軍だったり、チャンパ軍だったり、中国の傭兵だったりも描きわけられている。当日、生活をしることもできる
し、遊び心や動物の様子も詳しい。また、それを詳しく説明されたが、如何せん暑い。1月は乾季で、比較的暑さもましだそうだか、連日35度以上が続いて、日差しも強い。
周辺にもたくさんの大小の遺跡が点在するが、350メートルにも渡ってゾウの彫刻が続く「象のテラス」。象が蓮の花を吸い上げる像や阿修羅像で支えられている。そして三島由紀夫の戯曲でも有名(今現在も公演中)「ライ王のテラス」は、無数の神々が細かく彫刻されていた。いろいろと遺跡を巡り、勝利の門を抜けて、次ぎの遺跡に向かう。暑かったが、最初の遺跡から圧倒さればなしだった。
(第一回廊=行進中、亀にお尻を噛ますいたずらと、飲んだくれる人)
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