悪戦苦闘
月例会も、新年度を迎えた。4月が総会なので、5月からスタートするが、ブライアン・ソーン著の『カール・ロジャーズ』の輪読も、4年目に入った。
新年度の最初は、毎回、ぼくが担当している。今年は、第四章の「批判とその反論」の最終箇所からである。
ページ数はそれほどないので、レジュメも簡単に造れると思っていたが、一読しても、さっぱり頭に入ってことない。何度も読むうちに、なんとなく文体は理解できてきた。とても難しい文章というのか、翻訳がまずいのか(この章の翻訳の先生とは顔見知りだが)、接続語をもとに、そのセンテンスでまとめて、なんとかレジャメを造った。
月例会のメンバーには、元大学教授やベテランカウンセラー、イギリスやアメリカでも発表された先生もおられるのだが、それでも、皆さんと、悪戦苦闘しながら、なんとか四章まで読む終えた。
結局、ロージャズの仮説は、実証的に検証されているとは言い難く、また初期の彼の思考の中核部分には混乱があり、論理的な矛盾があるといことを、回りくどい表現で伝えている。
ところが、結論の最後の最後には、そのような矛盾や混乱を認めつつ、それを凌駕しているのが、著者自身が体験した「ロジャーズ本人と直接的な出会い」であるという。統合されたその人柄(人格)のすばらしさこそ、なによりの証拠だというのである。
あれれれ。それを言われたら、もうお終いだなー。確かに、実際の出会いにまさるものはないのだろうけれど、もう故人となった以上、ぼくたちは、彼に会うことはできない。確かに、どこまでも主観的な経験が第一ではある。しかし、これまでの批判に対して理論的に反論していた最後をこれで結ばれたら、人文科学でもないことじゃないかなーと、ここまで読んできてがっかりしてしまった。
それでも、第五章から最後まで、一年かけて読んでいきます。
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