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一生造悪値弘誓

Img_5447_2  F家の十三回忌法要法座。

 毎年、ご法縁をもらい12年も続いていることになる。

 勤行のあと、ご法話。例の一燈園の逸話。こんな話なら、少々長くても、皆さん、真剣に聞いてくださる。でも、単なる道徳や感動的な話で終わらないで、どう後生に結びつけるのか。それには、自分のこととして聴けるかにかかってくる。

 縁あって、親鸞さまの『正信念仏偈』のお軸を飾って頂く。国宝の『ご本典』におさめられた親鸞聖人の真筆を、今の技術で転写されたもので、知り合いの表具屋さんに表装してもらった。

 「一生造悪値弘誓
  至安養界証妙果」

 「一生悪ヲ造レドモ 弘誓ニ値(もうあ)イヌレバ、
  安養界(あんにょうかい)ニ至リテ妙果ヲ証セシムトイエリ」

 「生涯、悪を造り続けるわれわれであっても、ひとたび阿弥陀さまの本願に出会い、信じる身となれば  命終わって、必ず安養のお浄土に生まれて、最高の仏の悟りを開くのである。」

  「もう少し詳しい意味は?」と尋ねてくださったので、説明をする。

 すると、「一生悪を造る」にひっかかり、「世の中には、環境のせいで仕方ない悪人もいるけれど、根っから悪人もいますよね」と。おかげでそこを手がかりに、善悪について考えていただいき、「私自身は、悪人ですか」と問う。「まあ、悪いとこもあるけれども…ね」と、私はやや善人なのである。確かに、世間の常識では、殺人罪や重大事件を起こす悪人が他にいて、私のことはないのだ。

 これまでの人生経験や善悪の基準が翻ることは容易ではないが、それでも善悪を超えた真宗のおみのりに触れていただくしかない。仏法を聴かせていただかなければ、「一生造悪」の極重悪人が、実は私のことであったと気付くことはなかったのだから。  

  4月は法事が続いたが、これで今年の予定の法事3件が、すべて終了。あとは、5月の永代経法要を終われば、年内に五条袈裟も付けることもないのかなー。

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