聖典講座~『重誓偈』(2)各行の大意は
さて、『重誓偈』の段落分けと、各行の大意を窺ったので、簡単に触れておこう。
まず、1~3行が、(1)「三誓を建てられる」段である。
1行目の「我建超世願~」は、四十八願全体をうけ、どの仏にもない、超世の願であることを誓われたもの[満願]。
2行目の「我於無量劫~」は、第十八願意で、苦悩の人々を救うために、自ら名号の功徳を施す仏になることを誓われたもの[大施]。
3行目目の「我至成佛道~」は、第十七願意 その名を十方世界のすみずみまで聞こえわたさせよう誓われたもの。[名聞] このように、三度を重ねてお誓いになっているが、1行目が、自利なら、2、3行目は、利他であって、自利利他が円満に成就した仏になろうというお誓いである。
続く、4~9行目が、(2)「仏徳を誓われる」段である。
4行目の「離欲深正念~」が、三誓を受けて、そのための行を成し遂げよう、という決意表明である。分け方によって、ここを(1)段に修める見方もある。
次に、光明の徳を誓われるのが、「神力演大光~天光隠不現」まで、5、6、7行である。すなわち、闇を破り、すべての人を育て、真の救いを与える光明の働きを身につけることを願われているが、十二光のいくつかが誓われている。
そして、光明の徳に続いて、8行目の「爲衆開法藏~」は、名号の徳である。呼び声を全世界の人びとに施そう、という名号の功徳を誓われる。
以上の光明と名号の功徳をそなえるための行を完成しよう、という結びの決意表明ガ、9行目の「供養一切佛~」である。
そして、最後に(3)は「証明を請われる」段(現瑞証誠)で、
10行目の「如佛無礙智~」は、師仏讃嘆で,、 匠の世自在王仏を讃え、ひとしい智慧が身につくことを願い求められる。
11行目の「斯願若剋果 ~」は、 四十八願の真実性を証明するために、師仏に奇瑞・現瑞をあらわすことを求められて、重誓偈の結びとされる。 と結ばれるが、偈を述べ終わるやいなや、大地は六種に震動し、天は妙華を雨(ふら)、微妙な音楽が流れ、そしてどこからともなく、「決定して必ず無上正覚を成るべし」の声が響いてくるというのである。南無阿弥陀仏
次回は、都合で4月25日の土曜日となります。1時30分から5時。
発願につづいて、いよいよご修行の段に入っていきます。
| 固定リンク
「聖典講座」カテゴリの記事
- 『口伝鈔』第七条「凡夫往生章」(2023.01.29)
- 『口伝鈔』第五条「仏智護念章」(2022.11.13)
- 『口伝鈔』第四条(2022.10.16)
- 聖典講座『口伝鈔』(1)(2022.10.15)
- 『御伝鈔』下巻第七段(3)「~廟堂創立の経緯とその後~(2022.02.22)