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『往生礼讃偈』を学ぶ

  新聞広告に仏教大学の一般公開講座の案内があった。場所は、四条烏丸の北東角。いつもの京都シネマの斜め前にある銀行ビルの上だ。

 善導大師の『往生礼讃偈』を読む、という講座である。普通でも、一講座1000円と安いが、これは無料講座というのである。

  『往生礼讃偈』は、『六時礼讃』ともいわれ、浄土宗や(蓮如上人が『正信念仏偈和讃』を定める前の)浄土真宗では、日常行儀を説き述べられると共に、勤式に使用されてきたもので、もともとは馴染みのあった偈文である。しかし、今日ではそうではないだろう。

 善導様には、五部九巻と呼ばれる著述があるが、どうしても『観経四帖疏』が中心で、残りの四部は、具疏とか、行儀分と呼ばれている。主に行儀、礼法に関する記述であるからだが、教義的に意味のある点も多々ある。

 ところが、今日、浄土真宗では、親鸞様の見方で、七高僧方のお言葉をいただく。とくに、親鸞聖人の善導様の読み方は、徹底した自力無効、他力回向の立場から、大胆な読み替えをされていることがある。 それに比べると浄土宗の読む方は、正統的な当面の読み方なので、そこも押さえた上で、親鸞様が喜ばれた善導様のお言葉をいただくと、より一層、親鸞様の他力回向の立場が、明確になってくるのだ。

 こんな専門的な内容で、一般の方は少ないだろうと思っていた。が、意外なことに、ビルの一室の講義場は、100名以上の方が座っておられる。でも年輩の方が大半。お隣の女性は、龍谷大学の一般公開講座の会員証もお持ちだった。

 ただ残念なことに、案内では10月からの3回の開講だと思ったが、実は、すでに春、夏と6回が経過して、今回は秋講座のご案内。すでに、六時のうち、日没讃、初夜讃、中夜讃、そして後夜讃と済んでいて、それで、彦琮法師の礼讃による「晨朝讃」からの講義で、いきなり内容に入られた。

  内容も、かなり専門的もので、さてさてどれだけの方が理解されているのかという内容だった。が、少なくても、大学の教養としての仏教講座(無料というのもあるが)、これだけの方が、なんらの形で関心を持って集まってこられることに、たんへん驚くともに、この人達のなかで、もしかすると自分の信仰の問題として聞法される方はおられるかもしれないなという思いで見ていた。ただ、ご縁や出会いがないだけはなかろうかと。

 さて、講義はかなり面白かった。ただし、専門的な漢詩(七言絶句や五言絶句)の詳細な話が大半で、本には最後、少し入っただけだ。漢詩の作製ルールなどは、かなり細かく説明されて、ぼくも知らないことがあったが、もう少し彦琮法師の礼讃の内容に入ってほしかった。講義は、質疑や問いかけもなく、ほんとうに一方的に始まって、時間と共に問いかけもなく終わったのは少し物足りなかった。

 次の機会も受講して少し勉強することにしたいな。

 

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