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『グレート・ビューティー』~追憶のローマ~

  『ローマの教室で』~我らの佳き日々~に続いて、『グレート・ビューティー』~追憶のローマ~を観る。

 大傑作を出した初老の作家の初老と、さまざまな女性との絡みを通じて、永遠の都ローマでの、ひとりの天才作家を通して生と死を描く作品。

 ローマを描いた映画と言えば、『ローマの休日』があまりにも有名。でも、あれは、確かにアメリカ映画。観光目線のローマなのかもしれないね。その点、これは、地元の目線の圧倒的な美意識に根ざしてますね。

 まず、フランス人作家の『夜の果てへの旅』が引用され、ローマの各所をカメラの移動撮影で映しだされ、なぜか、日本人団体観光客のひとりが倒れる(死)ところから始まる。ある意味で、不思議な冒頭。最期も、百歳を超えたキリスト教の聖女が、天国の階段へと息たえだえに登るシーンで終わり、たぶん、生(性)と死がテーマだということの暗示かなと。
 早朝の観光シーンの後は、セレブたちの夜の不毛なパーティーシーンへ。強烈なディスコティーク・ナンバーで躍り狂う、一昔前のバブリィーな日本のような光景。ここでも、ローマの、朝の静謐さとの夜の喧噪が対比されて描かれてます。

 ここで、主人公が登場。
 深いローマの歴史と、美の中で、彼自身の原点である青春時代のナポリ時代の初恋と、その彼女の死。さらに、傷をもったもの同士が引き合った、友人の娘でストリッパーの出会いと、死ぬをメーンに、束の間に関わる女性たち~アバズレと呼ぶ彼の外国人の女中。子供の背丈しかない女編集者、彼が取材する前衛演劇の女、ペインティング・アートで魅せる少女、さらに100歳超の聖女(老婆)などなどの、深かったり、浅かったりの女性との出会いによって、彼の中で、さらなる真実への探求の意欲が起こってくる…。
 主役のトニ・セルヴィッロが、俗物にもならず、また高尚な哲学者でもなく、人生を諦觀しつつも、内面では探求を続ける、そのバランス加減がよかったのだろう。

 前の京都では、10月にヴェネチア国際映画祭で、ドキュメタリー映画としては初の最高賞を受賞した『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』の公開も控えていて、ローマの映画の名作が続きそう。

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